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階段昇降って体幹を鍛えることができるの?

今回は
階段昇降中の腹部の凹み(AH)が
体幹筋の活性化に与える影響についての
論文を紹介します

階段昇降は
心肺機能や骨密度、バランス能力の向上など
多くの健康メリットをもたらす運動です
さらに
階段昇降中に体幹筋を同時に鍛えることができれば
これらのメリットに加え
体幹の安定性を高める効果も期待できます

本論文では
階段昇降中に腹部を凹ませる動作であるAHを伴うことで
体幹を安定させる局所筋の活動を
促進する効果があるのかを調査しました

論文の内容要約

この論文は
健康な男性20名を対象に
表面筋電図を用いて階段昇降中の体幹筋の活動を測定した
横断的研究です
被験者は
AHを伴う階段昇降と
伴わない階段昇降の2つの条件で階段昇降を行い、
その際の体幹筋の活動量を比較しました

研究方法

  • 対象者: 腰痛の既往歴のない健康な男性20名

  • 測定方法: 表面筋電図を用いて、多裂筋(MF)、腰背筋、胸背筋、腹横筋-内腹斜筋(TrA-IO)、外腹斜筋(EO)、腹直筋の活動を測定

  • 課題: AHを伴う階段昇降、AHを伴わない階段昇降

  • データ分析: 各筋肉の活動量の平均値、局所筋/全体筋の活動量比率を比較

この研究では、まずデータの正規性をK-S検定にて確認し
次に対応のあるt検定を用いて
AHを伴う階段昇降と伴わない階段昇降の
2つの条件における体幹筋の活動量の違いを
検証しています

この論文で行われたAHの実践方法

本研究では
被験者に対してAHの実施方法を習得させるため
以下の4つの段階を踏んだトレーニングが行われました

1. 触診による指導

理学療法士は
被験者にAHを正しく行うための指導を行いました
この際、理学療法士は被験者の腹部を触診し
へその下方の下腹部をゆっくりと優しく引き込み
上腹部、背中、または骨盤を動かさないように指示しました

2. 言葉によるフィードバック

理学療法士は
被験者の動作を見ながら
言葉で適切なAHの実施方法を指示しました
このフィードバックを通して
被験者はAHの感覚を理解し
正しい動作を意識的に行うことを目指しました

3. 圧力生体フィードバックユニットの使用

圧力生体フィードバックユニットという機器を用い
被験者の腰椎の動きを検知し
AHの実施状況をモニタリングしました
この機器は
被験者が仰向けやうつ伏せになった状態で使用され
腰椎の動きを数値化し
被験者がAHを正しく行えているかに役立てました

4. リアルタイム超音波画像診断

仰向けフックライイング体位
(仰向けに寝て膝を曲げ足の裏を床につける体勢)
などの体位で
リアルタイム超音波画像診断を用いて
AHの実施状況を可視化しました
この方法では
TrA筋の肥厚と外側への動き
IO筋の肥厚などを確認することで、
験者が正しいAHを正しく行えているかどうかを
判断することができました

これらの段階的なトレーニングを通して
被験者はAHを習得し
階段昇降中にAHを伴う運動を行っています

結果と考察

  • 結果:
    AHを伴う階段昇降は、AHを伴わない階段昇降よりも
    多裂筋と腹横筋-内腹斜筋の活動量を有意に増加させた
    また、局所筋/全体筋の活動量比率も
    AHを伴う階段昇降の方が高かった

  • 考察:
    この結果は、階段昇降中のAHが
    体幹を安定させる局所筋の活性化を促進することを示唆している

体幹筋を鍛える上で留意する点

この論文から
体幹筋を鍛える上で以下の点が重要であることがわかります

  • 局所筋の活性化:
    体幹を安定させるには
    深層にある局所筋である多裂筋や腹横筋を
    効果的に活性化させることが重要です

  • AHを活用:
    AHは、局所筋の活性化を促す効果的な方法です
    この論文では以下の方法でAHを実施しています
    言語的なFBには
    上腹部、背中、骨盤を動かさずに
    その下方の下腹部をゆっくりと優しく引き込み
    意識的に呼吸をすると
    触覚によるフィードバックでは
    腸骨稜から内側に2cmの位置に指を置く
    このように実施していました

まとめ

この論文は
階段昇降中のAHが
体幹を安定させる局所筋の活性化に
効果的な方法であることを示唆しています
体幹の安定性を高めたいときに
階段昇降などにAHを取り入れることも
やってみてもいいかもしれません

今回、参考引用した論文は↓


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