エビデンスに基づく広背筋のストレッチ方法
はじめに
広背筋の過活動は
肩甲上腕関節の機能が低下し
慢性的な肩の痛みや
慢性的な腰痛が起こる可能性へと繋がります
効果的な予防戦略として
広背筋のストレッチの重要性は
認識されていますが
最適な肢位については
明確なエビデンスがありませんでした
現状の経験に基づく方法から脱却し
科学的根拠に基づいたストレッチを探す必要があります
エラストグラフィーによるLDストレッチ効果の検証
超音波診断装置せん断波エラストグラフィーを用いた
広背筋ストレッチの研究で
体幹肢位の変化が
広背筋の弾性率に与える影響を調査しました
弾性率は筋硬度の指標であり
高値は筋の伸張を示唆します
この研究は
健常若年男性14名を対象に
様々な体幹肢位でのLDの弾性率を測定し
最適なストレッチ肢位を特定することを目的としています
研究結果からの最適なストレッチ肢位とは?
結果
体幹対側回旋、対側側屈+対側回旋が最も効果的
広背筋の全部位(上部、中部、下部、遠位)において
これらの肢位で有意に高い弾性率が観察されました下部線維へのアプローチ
体幹対側側屈、対側回旋、 対側側屈+対側回旋位で
効果的に伸張されることが示唆された上部繊維へのアプローチ
対側回旋と対側側屈+対側回旋で
効果的に伸張されることが示唆された上部・下部線維の機能解剖学的特性
上部線維は脊椎に対して垂直
下部線維は水平方向に走行しています
この筋線維の方向性に基づき
上部線維は対側回旋
下部線維は対側側屈で
より効果的に伸張されると考えられます
まとめ
この研究は
広背筋のストレッチの最適な肢位に関する
エビデンスを提供しています
広背筋のストレッチでは
筋線維の走行方向を考慮し
最も効果的に伸張できる
体幹の動きを選択することが重要です
広背筋の伸張には
体幹対側回旋、対側側屈+対側回旋
が有効で
特に下部に関しては
対側側屈でも有効な方法となります
今回、参考にした論文はこちら
Differences in shear elastic modulus of the latissimus dorsi muscle during stretching among varied trunk positions
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0021929021001044