美しいってなんだろう#29
どうやったら美しい文章を書けるのか?から出てくる言葉をつらつらと書いてみた。見返してみたが、そもそも美しい文章とは何か、自分にとっての美しいとは何かは考えていなかったので少し考えてみたい。
美しいときいて何を連想するか。
ぱっと浮かぶのは、洗練さとそこに込められた静かで強い想い。
洗練さは無駄がない、研ぎ澄まされたイメージ。たとえ無駄があったとしてもその無駄さえもが美しさの一部になっているようなもの。邪魔をしない無駄。そして、ととのい。わかりやすいってことかもしれない。
一方で、静かで強い想いというのは、その姿から感じる”何か”だ。まだ言葉にはならない。こちらは、わかりやすいものではない気がする。一見するだけでは感じ取れない、そこに込められたその人の想い。願い。それは聞こえる人にしか聞こえない静かに語りかけるような声でありながら、でも聞こえる人にはとても力強く聞こえる声。
そんなイメージ。
とすると、僕が書きたいと思っている美しい文章とはこういうことなのかなと思う。
伝えたい何かをストレートに伝えるだけのととのった文章でありながら、でもわかりやすいだけではない想いや願いが込められた文章。
必要なのは、わかりやすく伝える言葉使いとユニークさだ。
小説「羊と鋼の森」で、主人公が憧れる先輩調律師の「理想の音とは?」に対する回答を思い出す。
"明るく静かに澄んで懐かしい文体、少し甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体"
言葉ってすごいなぁ。。。
まだうまく表現できないもどかしさを、もう少し言葉にできるようになりたい。そうすれば自分がみたい世界が現れる気がしている。あの言葉にならない感覚をおそらく僕はもう知っている。言葉にならないものを、知るために言葉をもっと。
2021.10.27.20:59