日本初のブランクーシ展!本質に迫る彫刻は、まるくてかわいい
東京のアーティゾン美術館で開催している展覧会『ブランクーシ 本質を象る』を訪問しました。
特設サイトによると「ブランクーシの創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての機会」とのこと。
ブランクーシの彫刻に対しては「なんかほっこりする」という漠然とした印象しか持っていませんでした。
今回の展覧会ではよく知らなかったブランクーシの作品をまとめて鑑賞することができ、大満足でした!
ブランクーシといえば《接吻》
ブランクーシの代表作のひとつは《接吻》。
本で見たことがある人も多いのではないでしょうか?
くっつきすぎて、ロマンチックというよりコミカル……。
石の塊から掘り出す「直彫り」という技法を用いた最初期の作品です。もともとひとつの石から浮かび上がったふたりだと思うと、ここまでくっついているのもうなずけますね。
ちなみにブランクーシが働いていたロダンの工房では、塑像(粘土をコネコネして形をつくる)を分業で行っていました。
塑像は途中で形を変えたりやり直したりできますが、直彫りは一発勝負で緊張感があります。
動きを可視化した彫刻《空間の鳥》
もうひとつの代表作が《空間の鳥》。
写真奥にあるのが《空間の鳥》で、手前は《雄鶏》という作品です。
鳥そのものの形を模したというより、上に飛んでいく運動のイメージを可視化したようなフォルム。
動きを見えるように表すというところは、漫画にも通じる感じがします。「ピューン!」とかオノマトペをつけたくなりますね。
余談ですが昔、新聞のコラムに「《空間の鳥》のモデルはサンカノゴイという鳥では」とありました。
比べてみると……
似てる!
ブランクーシは物の本質を見極め、観念を表そうとしていたはずなので、実際にサンカノゴイの彫刻を作ったわけではないと思いますが、似てますね。というかサンカノゴイ、かわいいですね。
日本にもいますが絶滅危惧種に指定されており、最新の調査では国内に17羽しか確認できなかったそうです。(参考記事)
モダン×ほっこり、ブランクーシの彫刻世界を味わって
初期から晩年までの彫刻に加え、絵画や写真、ブランクーシ周辺アーティストの関連作品も展示されており、とても充実した展覧会でした。
彫刻作品は約20点とありましたが、ひとつひとつ見ごたえがあるので、もっといっぱいあったような印象です。
「絵画に比べると、彫刻はどう観たらいいのかよくわからないなぁ……」と思っていたのですが、ブランクーシ作品は不思議といつまでも眺めていられて飽きませんでした。
洗練されていておしゃれなのに、丸っこくてかわいらしい。
なんともいえないブランクーシワールド、ぜひ堪能してみてください。
これまた余談ですが、ミュージアムショップに売られている犬のぬいぐるみ(画像右下)もかわいいです。ブランクーシが飼っていたワンコがモデルです。ブランクーシはアトリエの色を白に統一していて、もちろんワンコも白でした。
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