十九話 妖怪 イカ墨べったり（いかすみべったり）
白い服を着ていると食べ物がはねる
食事中に料理がはねて服が汚れてしまうことがある。特にメニューに「イカ墨スパゲッティ」がある時は要注意だ。食べたいからと言ってむやみに注文すると痛い目に合う。白い服やお気に入りの服を着ている時は、ナプキンなど前掛けをして汚さないよう気をつけたいものだ。
それでもまれに、妖怪「イカ墨べったり」に取りつかれている女を見かけることがある。その形相は口が顔半分までぱっかり割れ、黒い歯をむき出しにしてゲタゲタ笑う。大口でしゃべるから、口から食べ物がたくさん飛び散って服にはねていているのに、全く気にするそぶりもない。身振り手振りで話すものだから、誤って飲み物を倒すこともある。
同族に「ミートソースべったり」や「カレーうどんべったり」と言う妖怪もいる。人ごとだと思わず、自分も取りつかれないよう食べ方には注意しよう。
どんな妖怪だった？
お歯黒べったり（おはぐろべったり）
夕闇の神社を通りかかると女が伏せっていた。声をかけると女は振り向き、目鼻のないのっぺらぼうの白い顔がパックリと割れ、お歯黒を見せながらゲタゲタと笑っていたという。
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この物語は、無料マガジン『社会の闇にうごめく二十六妖怪今昔物語』に掲載されている第一話です。良かったら、他の物語も読んでみて下さい。
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