闘争or逃走?
こんにちは。しんしん心理研究所の心理師Shingoです。今回は、アメリカ合衆国の生理学者ウォルター・B・キャノンによって提唱された「闘争・逃走反応」について現代社会のストレス環境に当てはめて考察して見たいと思います。
「闘争・逃走反応」とは、動物がストレスフルな状況に遭遇した際に、身体が自動的に行う生理学的な反応のことを指します。この反応は、生存を維持するための進化的なメカニズムとして考えられています。以下では、現代のストレス環境における闘争・逃走反応を説明します。
闘争・逃走反応とは?
闘争(Fight)
危険やストレスフルな状況に直面したとき、身体はその危険に立ち向かうための準備をします。このとき、ストレスホルモンであるアドレナリンやノルアドレナリンが放出され、心拍数や血圧が上昇し、筋肉が収縮します。この反応によって、身体は戦闘や対立に備えることができます。逃走(Flight)
危険から逃れるための反応です。もし危険な状況から逃れることができるなら、身体は速やかにその場から離れようとします。このときも、アドレナリンやノルアドレナリンが放出され、心拍数や呼吸が促進され、筋肉が活性化されます。
現代のストレス環境と闘争・逃走反応
現代社会では、闘争・逃走反応が本来の意味での脅威に対するものだけでなく、様々なストレス状況にも適用されます。
仕事上のストレス
仕事でのプレッシャーや緊張状態は、闘争・逃走反応を引き起こします。納期に追われたり、難しい問題に直面したりすると、身体は闘争・逃走モードに入ります。交通渋滞
遅刻しそうな時や急いでいる時に交通渋滞に巻き込まれると、身体はストレス反応を起こします。心拍数が上がり、イライラや焦りを感じることがあります。ソーシャルメディアのプレッシャー
SNS上での批判や否定的なコメントなど、ソーシャルメディアのプレッシャーも闘争・逃走反応を引き起こします。身体は脅威と見なし、防衛反応を起こすのです。経済的な不安
お金の問題や経済的な不安も、身体にストレス反応を引き起こします。これは、生活の基本的な安全が脅かされると感じるためです。
現代社会における問題点
長期的なストレス
現代社会では、闘争・逃走反応が短期的なものではなく、長期にわたって続くことがあります。これによって、身体に負担がかかり、ストレス関連の病気や心の健康問題が増加する可能性があります。身体的な影響
長期間にわたるストレスは、高血圧、心臓病、消化器系の問題、免疫機能の低下など、さまざまな身体的な影響をもたらすことがあります。心理的な影響
ストレスはうつ病や不安障害などの精神的な問題のリスクを高めることがあります。
まとめ
現代社会において、特に日本では生命の危機を強く感じる状況は少ないかもしれません。しかし日々の生活でさまざまな要因により、闘争・逃走反応は、身体の生理学的な反応として現れます。仕事上のストレスや交通渋滞、ソーシャルメディアのプレッシャーなど、さまざまなストレス状況が身体に影響を与えます。長期間にわたるストレスは身体や心の健康に悪影響を与えるため、ストレスマネジメントが重要です。ストレスを軽減するためには、適切なリラックス法やストレス解消法を取り入れ、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
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