謎が解けた瞬間。
突然だが私は、何度も引っ越しをしている。
訳あって、
引っ越さなければいけなくなったり、
家賃が払えず、ホームレスになったり、
住み込みの、仕事をしたり、
ある障害者の家に居候してたりと、
さまざまである。
そんな中、
窓を開けたらすぐ電車の線路がある為、
家賃が安い部屋に引っ越した時がある。
だが、それ以前に、安い家賃の訳を、
知る事となる出来事があったのだ。
先に言うが事故物件ではない。
だとしても、私なら構わず住むだろうな。
ちょっと、記事にするのを躊躇してしまう。
多分…いや、かなり、気持ち悪い事である。
ふー。今も脳裏に焼き付いて離れない。
そろそろ本題に入ります。
その部屋に住んでしばらくは電車の音が、
うるさくて嫌になっていたが、日本の電車は、
素晴らしく、時間通りに走ってくる。
なので、電車の音が、いわゆる時計の様な、
そんな存在になってて、さほどうるさくは、
感じなくなっていて、あー今何時か…と、
思いながら、過ごしていた。
夜になると、回送電車が走っていた。
そんな、電車音も生活音と変わらずに、
そろそろ寝ないとな…と思う程度であった。
ある夜、夜風に当たりたいと窓を開けた。
そこに、なにやらモゾモゾと動く影。
ん?なんだ?あれ?よく見えないな…。
そんな事を、
考えていると、回送電車が来て、
そのモゾモゾ動く物体を映し出す。
人である。
それからは、一瞬の出来事だった。
ブレーキ音が響き渡ったと思ったら、
回送電車に人が吸い込まれていったのだ。
その一瞬のはずが、私にはスローモーション。
人が照らされて、その人と目が合ったかと、
おもったら、異様な形になって、目の前で、
電車が止まったのだ。
電車には、
その人の無き物体達がこびりついていた。
夜で良かった…あまり鮮明には見えない。
だが、異様な匂いに鼻がおかしくなった。
これが昼間なら、カラスが大量に、
群れエサにありついていただろう。
そして、
私は静かに窓を閉め、カーテンを閉めた。
私は、寝れなかった。
なぜなら、目が合ってしまっからである。
これから、死を覚悟している人の目は、
何というか…とても美しく輝いていた。
笑っていたのだ。
嬉しそうと言うか、幸せそうだった。
それから、警察の現場検証の為、
外が明るくなっていた。
ガヤガヤとしている中で、
私は、一睡も出来ずに朝になってしまった。
朝には、回送電車もいなくなり、
何事もなかったかの様に、始発の電車が、
通る音がした。
そして、いつもの日常に戻って、
私はその日、会社を休んだ。
それまで、気にもならなかった電車の音が、
私をタイムスリップしてあの場面へ戻す。
もう…頭がおかしくなりそうだったので、
すぐに不動産屋へ向かう。
普通なら、駅に近い方がいいと言うだろうが、
私は、なるべく駅や線路から離れた場所を、
お願いした。
すると、不動産屋さんが、私の部屋について、
あー、もしかして…人身事故のせいかい?
ニュースになってたからね…。
あそこは、夜になると、
すぐに人身事故、起こすんだよ。
何度もなんだよ…なんでだろうね…。
つまり、あの部屋の前の線路では、
夜によく人身事故が多発するのだそうだ。
だから、家賃が安いんだ…。
何か、魔物でも住んでいるのか?
そんな事を、考えながら、
さっさと引っ越しの手続きをして、
その部屋を引っ越した…。
時は今になる。
病院の窓側のベットで私はずっといるのだ。
窓の外には、
決まった時間にバスや通勤の車を目にする。
そして、気づいてしまったのだ。
あの時、
私の部屋から見て、線路の向かい側…。
そこには、大きな病院があったのだ。
その当時、
線路へは、軽い柵が立ってるだけである。
誰でも線路に入れたのだ。
そして、思い出したのは、
あの時のあの人は病衣を着ていた。
私は何度も、
病院の窓から飛び降りたい衝動に、
かられて、自由になりたいと願っていた。
病院での生活は、刑務所みたいな、
生き地獄の様なものに近く感じてしまう。
時間の流れが異様に長く、
何かをしてないと気が滅入る。
死を待つだけの時間を過ごすのだ。
頭が、思考が、精神が、
もたなくなり、マイナスな方に向かう。
そんな中で、
目の前に線路があり、もう限界で、
誰かが、そこで人身事故を起こす。
もう頭はこんなに楽に死ねる方法があったら、
多分…嬉しくて迷わずに線路に向かうだろう。
私でさえ、電車の通る時間がわかるぐらいだ。
長く、入院していたら嫌でも、
それを知る事は出来るだろう。
回送電車の、時間も正確に知る事ができる。
やっと、自由になれる。
そんな気持ちで、夜になると、
こっそり病院を抜け出して、
回送電車で、人身事故は起こっていた。
何人もの人が、生きる事に疲れ、
死を待つぐらいなら、いっそ死にたい。
あー、ワクワクしてきた。
これで、死ねるんだ…嬉しいな、幸せだな。
そう、あの目は、そんな思いの表れ。
だから、美しく輝いていたのだ。
そう、思う様になると、呪縛の様な、
悪夢から私は抜け出せた。
あの時の、ある人は私は同じなんだな。
今なら、あの人の気持ちがわかる。
でも、今の私は目の前に線路があっても、
一瞬死のうと頭によぎっても、死なない。
生きたいからだ。
生きぬきたいからだ。
もし、病院を出るとしたら、それは、
退院と言う日を迎える時しかない。
私を待つぐらいなら、生き延びたい。
気持ち悪いお話をしてしまい、
気を悪くしてしまった方がいたら、
すみませんでした…。
記事にするか、迷ったのですが、
現状から、立ち直ってみせると決意し、
人間と言うものは、儚く弱い者なのだと、
自分に言い聞かせてる為に記事にしました。
命を大切にしたいのです。
そして、人身事故の車両を清掃して下さる
方々、本当に大変な事だと思います。
嫌な世の中で、
人身事故も多発してるかもしれません…。
あの、車両に張り付いた物体は、
暗闇からでも、わかるぐらい、えげつなく、
特に匂いがすざましかったです…。
生きていた人が、そこに、
まだ、しがみついている様に私は思う。
死んでも、なお存在を残したいのた。
その中で、そのしがらみから、
抜け出してあげようと、清掃してくれてる。
とても、
素晴らしく、誇れる仕事だと、私は思うのです。
感謝します…本当にありがとうございます。
今も時刻通りに走る電車があるのは、
あなた方の懸命な仕事のおかげなのですね。
あの時の、
ある人はきっと輝いた目をしていたのだろう。
よかった…苦しまなくて。
電車に乗り、あの地へ行きたい。