
津軽塗について調べてみた
みなさんこんにちは。
紅里です。
今日は津軽塗について綴らせていただきます。
以前南部鉄器についての記事をあげさせていただきました。
詳しくはこちら。
この中でも触れましたが、母親が東北出身で南部鉄器や津軽塗の工芸品を使っていました。
南部鉄器の急須だけじゃなく津軽塗のお盆ももらっていたので、今度は津軽塗について調べてみようと思います。
ちなみに見出しの画像は実際に我が家で使っているものです。
箸は7年くらい前から使っていて未だ現役。
お盆はもらってから20年くらい経っていて、その前から実家にあったからもう何年経過しているかわからない代物です。
まず津軽塗とは
津軽塗とは
「津軽塗」の正確な定義というものは存在しませんが、一般的には津軽地方で生産される伝統漆器の総称とされています。津軽塗という言葉が生まれたのは明治六年(1873年)、ウィーン万国博覧会に漆器を展示することとなった際、その産地を明らかにするため名付けられたことからと言われています。津軽地方における漆器産業としての伝統はさらに古く、江戸時代中期にさかのぼることができます。
津軽塗には代表的な4つの技法があり、漆工技術の分類では「研ぎ出し変わり塗り」と言われ、津軽塗の最も大きな特徴と言えます。塗っては研ぐという大変手間のかかる技法は、40数回の工程と2ヶ月以上の日数を費やして仕上げられます。非常に耐久性があり、津軽塗はよく「堅牢」という言葉で評されます。
ふんふん。江戸中期からの伝統ある工芸品ですごく手間がかかるということだね。
非常に耐久性がありということだから、我が家の盆みたいに20年以上経っていても現役で使用できているのは当然ということかな。
では特徴は?
津軽塗の特徴は、堅牢で実用性に富んでいると同時に、非常に優美な外見を持つ、というところにあります。津軽塗で用いられる「研ぎ出し変わり塗り」という技法は、幾重にも塗り重ねた漆を平滑に研ぎ出して模様を表す方法です。
この繰り返しに数十回の工程、二か月以上の日数を費やすことで、複雑で美しい漆模様と、頑丈でしっかりした触感が得られるのだと言えます。
藩政時代には様々な塗の技法が存在したが、現代まで伝わっているのは唐塗 / 七々子塗 / 紋紗塗 / 錦塗の四技法です。
なるほど。
私が知ってるのは唐塗と七々子塗りだな。
でも一番メジャーなのは唐塗だと思う。
見出しの写真もそうだけど、津軽塗と言えばこの模様という感じ。
では唐塗とは
津軽塗の代表格であり、現在最も多く生産されている。
唐塗独特の複雑な斑点模様は、何度も塗っては乾かし、そして研ぐという作業を繰り返し、 全部で四十八の工程から生み出される。
完成までには最低でも一ヶ月半~二ヶ月を要する。
津軽塗の技法において唐塗の歴史は長く、正徳五年(一七一五年)には既に「唐塗之御文箱~」と書かれた記録が見受けられる。
「唐塗」という名は、もともと中国からの輸入品を唐物と呼んでいたことに由来する。
「優れたもの」、「珍しいもの」いう意味で、当時の社会風潮を反映して「唐塗」と命名されたものと思われる。
唐塗の文様の基礎を作る道具を仕掛べらと呼び、これによって凹凸が生まれる。
仕掛べらによる絞漆の凸模様を基本として塗膜面に現われる模様を「唐模様」といい、唐模様を主体にして仕上げられた漆器類を「唐塗の塗物」や単に「唐塗」と呼んでいる。
うん。
やはりこれが代表格だね。
渋いんだよね~(笑)
よく見ると赤や黒、緑などの色が見えて、何とも言えない表現が難しい模様をしてるんだよね。

では津軽塗の工程は?
1. 堅下地(津軽塗特有の堅牢な下地)
津軽塗の下地は、漆下地の中の一種である本堅地と呼ばれる技法が用いられている。
まず木地の形や表面を整えた後、直接漆を塗布して、堅牢に固め(木地固め)をし、木地の割れ・狂い・ヤセ等の支障を防ぐために(布着せ)をする。
漆に米糊・地の粉、または砥の粉を混ぜ合わせた漆を篦を用いて繰り返し塗布し、最後に平滑に研ぐ。
木地磨き木地表面を研磨紙で整える
↓ 木地固め下地漆を摺り込む
↓ 刻苧彫り刀で合わせ目を彫る
↓ (一回目)刻苧漆を付ける
↓ 刻苧(二回目)刻苧漆を付ける
↓ 刻苧はだけ刻苧鉋・荒砥で研ぐ
↓ 布つもり布着用の布を裁断
↓ 布着せ布を糊漆で貼る
↓ 布払い余分な布を取り除く
↓ くくり地付け地漆を付ける
↓ くくり地研ぎ荒砥で研ぐ
↓ 地付け地漆を付ける
↓ 地磨き荒砥で研ぐ
↓ 切粉地付け切粉を付ける
↓ 細目の金剛砥石で研ぎ、錆漆を付ける
↓ 錆研ぎ赤砥、名倉砥で研ぐ
↓ 中塗掛け模様付けをしない箇所(重箱の裏、裏面等)に中塗漆を塗る
えー、もう、下地だけでどれだけ手間かかってるの!?
そりゃ時間もかかるし金額も高くなるわ(^^;)
この工程を経て、やっとそれぞれの模様に入るんだね。
では代表的な唐塗の工程を見てみよう。
唐塗(からぬり)
多彩な研ぎ出し変わり塗の基本となる技法で、色漆の断層が美しい重厚な雰囲気の塗りである。
卵白を入れた黒色漆を仕掛けベラを用いて斑点模様を付け、 その上に色漆を塗り重ね、砥石や炭で研磨すると切断面が現れ独特の模様が現れる。
仕掛漆調合絞漆を作る
↓ 仕掛け仕掛漆の模様付け・乾燥
↓ 塗掛色漆を全面に塗る
↓ 彩色塗掛の上に彩漆を散らす
↓ 呂塗素黒目漆を塗る
↓ 妻塗り色彩を加え調整
↓ 上げ塗地色となる漆を塗る
↓ 荒研粗目の砥石又は、耐水研磨紙(#240〜400)で平らに研ぐ
↓ 中押研粗目の砥石又は、耐水研磨紙(#400〜600)で平らに研ぐ
↓ 仕上げ押研細目の砥石又は、耐水研磨紙(#800〜1,000)で平らに研ぐ
↓ 扱き塗(一回目)上げ塗で使った漆を篦を用いて扱くように塗る
↓ 扱き研粗目の砥石又は、耐水研磨紙(#240〜400)で平らに研ぐ
↓ 扱き塗(二回目)上げ塗で使った漆を篦を用いて扱くように塗る
↓ 仕上げ研細目の砥石又は、耐水研磨紙(#800~1,000)で平らに研ぐ
↓ 炭はぎ下摺り漆で固める
↓ 炭はぎ炭・耐水ペーパー(#1,200〜1,500)で平らに研ぐ
↓ 漆の吸い込みが止まるまで摺(すり)漆をする
↓ 千遍こぐり油砥の粉で細かい傷をとる、胴摺りとも云う
↓ 摺漆生漆で擦り込み拭ききる
↓ 重ね摺和紙で拭き上げる
↓ 艶付(一回目)艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
↓ 摺漆生漆で擦り込み拭ききる
↓ 艶付(二回目)艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
↓ 仕上げ艶艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
↓ 唐塗完成
いや、だからさ。
どんだけ大変なの?
渋いなんて言って申し訳なかったわ、本当に。
漆の知識がないから言葉自体よくわからないけど大変だっていうことだけはわかった!
3. 上塗
最後の仕上塗として、上塗漆をヘラで均等に配り、上塗刷毛でならすように延ばし、全面に均一な厚さに塗布する。
塗布後、鳥軸などで節上げをする。
そして上塗りをして、やっと完成なんだね。
最低でも2か月くらいかかる完成品を見てみよう。




画像はすべて青森県漆器協同組合連合会からお借りしました。
このほかにも ぐい吞みや重箱、茶びつ、座卓、菓子器、なつめ、銘々皿、ティッシュケース、iPhoneケースなんてのもありましたよ。
そして南部鉄器と同じように、伝統を守るだけではなく、異業種交流・各種公募展、展示会への出品など様々な試みが行われ、「ロイヤルコレクション」というブランドを立ち上げ、ガラスメーカーや陶磁器メーカー、宝飾メーカーとコラボしたり、海外にも進出したりしているんですって。
いやー、すごいわ。
その商品の奥を調べるということは、新たな発見と、職人さんやそれらを守って関わっているすべての人への尊敬と感謝の気持ちが湧いてくるわ。
お高いのでこれも少しずつ集められたらいいな。
では今日はこれで失礼します。
また読んでいただけると嬉しいです。