空の鯨
空のクジラ
作 幸梅
そよそよと揺れる草原に青空が広がって
大きなパレットと筆が置いてあった。
空に絵が描けたらなぁ。
青と黒の絵の具をとって、
まぜまぜっ
空高く上げてみた。
あれ!?描けるみたいだ!!
海のような青い空に、筆をぐおんっと持ち上げて、
ああ、気持ちがいい!
鼻歌をふんふーんと
細い線や太い線をシュー、シュー。
ふふふっ、出来た。
それは大きな大きな、クジラを描きました。
すると線がグラン!
えっ!!
クジラが動き始め、
草原の上でドンドンっと跳ね始めました。
目の前で止まると黒い瞳がジロンとこちらを、
乗ってよ。
滑り台のような背中を向けて待っています。
ゆっくりゆっくりよじ登り
てっぺんに着くと
周りは三角の山と
迷路のような川
海の向こうに地平線がスーッと広がり。
こんな景色初めてだ。
ドキドキしながら、周りを見渡します。
急にクジラの呼吸がふぅ、ふぅ
身体はゴトゴトッと動き始め
頭の穴から風が
ごごぉぉーっと吹きました。
身体が持ち上がり
ふわりっ
どんどんどんどん高く舞い上がりました。
いつのまにか
暗く深い青が近づいてきました。
そこには
キラキラ輝く星たちと
虹色の惑星が
絨毯のように一面に
波を打って広がっていました。
星は風船のみたいにギランっキランっと
大きさを変えて
こちらを見ているようでした。
何て美しい世界なんだ。
下を見ると
まんまるとした水色の地球と
大きなクジラがハハッと笑っていた。
クジラさん、ありがとう。