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わすれたくないnoteまとめ

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ふいに読み返しては、はじめて読んだときのことを思い出したり、その時どきで発見があったりする、「いいなぁ」と思う創り手の方々のnoteをまとめさせていただいています。(ときどき整理…
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#手紙

愛しさをひらく

秋が深まってきて、梢がきれいです。 透きとおる色ガラスのような葉が風にゆれる。 日々がおだやかにすぎてゆくのを、ゆっくりと眺めるようにすごしています。 noteをはじめて、2年がたちました。 さまざまなことがありながらも、ここですごせてよかったなぁと感じています。 昔はただ悲しくて、そのかなしさがあるから、ものを書いていましたが、最近は、愛しさから、ものを書いている気がします。 草木を眺めたり、水辺に行ったり、人とことばを交わしたり。最近はすべてのことをゆっくりとおこな

生きている

お盆になると、提灯をもってご先祖さまを迎えに行く。 田んぼ道、子ども用のちいさな提灯をぶらぶらさせて、おしゃべりしながらお墓に行く。 そうして、子どもみんなおんぶのかっこうをして、ご先祖さまたちをわいわい連れて帰る。 その風習がとても好きだった。 見えないだれかをおんぶする。ことばにならないけれど、たしかにそこに、だれかがいたのだと思う。それを感じていた。 死者は死んでも生きている。 ◯ 戦争に行って、帰ってこなかった親族がいる。 奥座敷の長押にかけられた軍服姿の遺

見えない

ゆりちゃんは、どこか遠かった。 おなじ専攻の友達だったけれど、さほど親しいほうではなかった。 あの人、見える人らしいよ。 ゆりちゃんについて、そういう噂があった。見えないはずのものが見えるのだとか。東北出身で、イタコだか歩き巫女だかなんだかの血筋らしくて、先だの前だのが見えるんだとか。 話してるとき、ふっとありもしないほうを見てるときがある、だとか。 私はほかの子たちと過ごすことが多かったので、ゆりちゃんのことはよく知らなかった。ただおそろしく着眼点の鋭い人だとは思ってい

新しくなる

noteをはじめて、1年がたちました。 自分のために、書くことをはじめてみようと思った日のこと、よく覚えています。 なんでもないある一日に、「信じる」という言葉が本や、歌から届いて、それがなぜかとても響いて、こわごわとですが、noteをはじめることにしました。 文章はずっと書いていたのですが、表に出すのがこわくて、人に見せることもしなくなっていました。でもどこかで、ことばの力を信じたい気持ちがあったのだと思います。 すぐに口をつぐんでしまったり、沈黙しがちなわりに、書