「いっしょに大きくなったから」
絵本はいつも隣にあった。物心つく前から手が届くところにあったから、破ったり鉛筆やサインペンが走ったり、汚れたり折れたり散々な目に遭わせてしまった。やった記憶はないけど、古い絵本はシミだらけのぼろぼろで、ああ、やったな。ってわかる。全部自分たちきょうだいの仕業。けれど母さんがテープ貼って直したり背表紙を手書きしていたり、落書きは消せてないけれど一応読めるから、ずっと家にある。わが家の本の後ろの見返しには、買った日付と場所が鉛筆書きで記入されてて、それも全部母さんの手蹟。