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わすれたくないnoteまとめ

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ふいに読み返しては、はじめて読んだときのことを思い出したり、その時どきで発見があったりする、「いいなぁ」と思う創り手の方々のnoteをまとめさせていただいています。(ときどき整理…
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2021年3月の記事一覧

雨のふる日は

しとしと雨のふる日は外ばかり見ている。 雨がしずかにふると、ふだんの音が遠ざかる。白い線をなんぼんも引いて紗のかかったような景色。いつもなら届くはずの遠くからの音が雨の音でとざされて、近くのちいさな物音ばかりになる。 庇に雨のうつ音を聴いている。 咲きこぼれた梅の花びらが濡れた道に散っていて、かすんだ雨の匂いがする。 「雨宿り」という言葉がほとんど死語になったな、と思う。 どこかの家の軒先を借りていっとき雨をしのぐ、そういうようなこと、いまはほとんどない。雨がふりはじめ