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春を思うクリスマスツリー
子ども頃に小さなモミの木を鉢に植えて、飾りをつけてクリスマスツリーに仕上げた。白綿をつけただけでツリーの雰囲気が増した。クリスマスの季節になると、飾られたが、鉢が小さくなり、庭に植えた。それからモミの木は、クリスマスツリーの役割を終えて、自然のままに生きた。
アンデルセン童話に「モミの木」というお話がある。
森の中に小さなモミの木が生えていた。クリスマスツリーになり、人々の注目を集めるのがモミの木の夢だった。太陽が輝き、風や鳥が、今の世界を謳歌しなさいとモミの木にささやくように歌っていた。
ある日、クリスマスツリーにするためのモミの木を探しに、子どもたちがやって来て、モミの木を持って帰った。クリスマスには、モミの木は、神々しく飾られて、皆の注目を集めた。モミの木は幸福の絶頂にあった。
やがて、クリスマスが過ぎると、モミの木は、屋根裏にしまわれ、誰からも忘れられて、寂しい一生を終えた。
クリスマスツリーには明るさに寂しさがついてまわる。そんなクリスマスツリーはいつから始まったのだろう。
ヨーロッパの文献を調べるのは大変だ。ツリーを描いた絵はないかと探してみる。
19世紀のビクトリア女王一家が描かれた絵にクリスマスツリーが描かれている。「イギリスのクリスマスの伝統」(https://ukwalker.jp/culture/5374/)によると、ビクトリア女王の夫君アルーバート公が1840年代に出身地ドイツのザクセンから持ち込んだのが、イギリスのクリスマスツリーの始まりとのこと。
「クリスマスの歴史(16~18世紀)」(http://xmassquare.blog.fc2.com/blog-entry-7.html)では、16世紀ドイツの銅版画に描かれたものが、クリスマスツリーの絵のもっとも古い例とある。クリスマスツリーは、それ以前にドイツか北欧で始まったのだろう。
クリスマス・ ツリーの起源として、同サイトには、11世紀に「ドイツのライン川上流地域で行われた宗教劇で、モミの木にリンゴの実をつけてエデンの園の知恵の木を表し、やがてロウソクを飾って光を表すようになる」とある。クリスマスツリーの発祥地は、冬が厳しいドイツや北欧がふさわしい。
冬の季節に葉を落とさない常緑樹への信仰では、日本にも、 松を稲穂に見立てて飾る門松の風習がある。上記のライン川地域の例では、モミの木にリンゴの実を飾るのだから、やはり秋から冬だろう。
冬は木々が枯れる季節だ。その中で青々としたモミの木から、人々は復活の春を連想する。クリスマスツリーは、希望の樹でもある。
(写真は、日本橋高島屋のクリスマスツリー)