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ワープロのあった頃

いろいろな機能が具わっているより、限られたものから、可能性を追求する方が面白いことがある。子どもたちも少ない遊び道具を使い、イメージを膨らませて遊んでいる。人間は豊かな生活より貧しい生活に活力を見出すものだという気持ちになる。かくして貧しい中からアイデアが生まれるのは世の常である。平成はじめの頃にあったワープロの文字絵等もこの類だったのかと思える。

パソコン-大型コンピュータに対して、ひとりひとりが専有できるコンピュータだからパーソナルコンピューター、つまりパソコンだが、それが普及する前(昭和の末から平成はじめの頃)にワープロという文書作成しかできないものがあった。たぶん発想はタイプライターを機械化するというものだったのだろう、和文タイピストがすぐに使えるようにと和文タイプの文字配列を模したキーボードをペンで押すワープロもあった。

文書作成しかできないワープロでは、絵が描けなかった。しかし、文字だけではつまらない、絵らしきものを書いてみたいと思い始めて、文字や記号を組み合わせて、花火や船を描いて遊んだことがあった。ローテーション表を毎月作成する仕事を任されていたが、文字や記号を使って描いた、桜、花火、夏の海といった季節らしき絵を入れてみたら、結構評判がよかった。課長が「限られたもので作るのが面白いね」と言ってくれた。その言葉がワープロの文字絵と共に懐かしい。



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