万葉の歌 み熊野の浦の浜木綿
紀伊半島の南端の串本に行ったとき、潮岬灯台の下に浜木綿の小さな群生があった。これが熊野灘の天然の浜木綿かと多少感動したのを覚えている。万葉集の柿本人麻呂の歌「み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へど直に逢わぬかも」が好きだったから、それを口ずさむでみたくなり「みくまのの〜うらのはまゆう ももえ〜なす こころはもえど〜 ただにあわぬかも」と小さくだがゆっくり詠った。暮のことだったが南国の太陽が温かく感じられた。
それより前のことになるが、先輩のMさんがくれた浜木綿の一株を柏の庭に植えたらあっという間に大きくなった。これが浜木綿の青々とした葉だとうれしかった。いつか自生する浜木綿を見たいと密かに思っていた。
み熊野の浦の浜木綿の葉が百重なすように幾重にも幾重にもあなたのことを思っているのに直接逢えなくて淋しいな
何が百重なしているかの解釈では、浜木綿の葉が幾重にも重なりあっている様子を表しているというのが、実際に浜木綿を見て一番自然に感じられる。
み熊野の〜浦の浜木綿百重なす♫
心は思へど〜直に逢わぬ〜かも
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