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母の短歌 採りいれる金柑に幼等駆け寄りて
採りいれる 金柑に幼等 駆け寄りて
両掌差し伸べ 吾を取り巻く
元気な頃の母は、季節ごとに小まめに庭木の手入れをしていた。大きくならないように手が届く高さに枝を下ろす作業をしていた。木は縮められると、反対に勢いづいて伸びようとする。次の年にまた枝を切る。そんなことの繰り返しだった。
玄関前に植えられた金柑は、母によって背の高さに抑えられて、いつも手の届く範囲にあった。冬になると金色の実をたくさんつけて、通りがかりの人の目を楽しませてくれた。
玄関前で金柑の実を採り入れている母を見て、小さな子たちが寄ってきて、手を差し出した。母の歌で、子どもが賑わいでいたあの頃の様子が目に浮かぶようである。今では、子どもの数も減り、金柑の実に集まる子どもの姿を想像することができない。
それから何年が過ぎたことだろう。母の手を離れた金柑は、年を追うごとに大きくなり、毎年のように多くの実をつける。今年もたくさんの実がなり、日の光に輝いている。
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