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漢字が縦書きの理由

漢字は、本来縦書きだが、それが毛筆の運筆により生じたのか、漢字そのものの構造から来たものか思い悩んでいる。

筆書きは、連続的な動きをする。一度墨を付けたら使い切るまで一気に書き終える運筆の妙が特色である。筆の運びは上下方向を基本とし、左から右への動きが付随し、右に運ばれた筆はその返しの妙により左の位置に戻る。その後、筆は下方乃至右方を目指し、上から下へ、左から右への運動を繰り返しながら、上下に大きく流れていく。つまり縦書きである。疑うなら、自分の名前を紙からペンをできるだけ離さないように一筆書きのつもりで書いてみてほしい。横書きより縦書きが書きやすいことが判る。筆書きが漢字の形を作り上げ、縦書きを決定づけたといえる。漢字のとめ・はね・はらいは、毛筆の発明により作られたことは間違いない。

しかし、筆書き以前の金文、甲骨文字などの刻字も縦書きであり、毛筆の発明によると言えない。何故、刻字でも漢字は縦書きなのか、その理由を知りたい。

甲骨文字を見ると、多くの文字は縦向きである。木、山、雨、火などの自然の事物に関する文字を見ると横より縦に力が働いている。人間は、自然界に対しては縦軸への意識が強いのだろう。そんなことが象形文字の構造に影響を与えている気がしている。象形文字の縦構造が漢字を縦書きへと方向づけていったのだろう、と考えているが、思考はここで止まっている。

2022.12.28





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