【官能小説】幸せの花嫁
拝啓、マチちゃんへ。
こうやって手紙を書くのは2回目になるね。この間は私のプロポーズを受け入れてくれて本当にありがとう。すごく緊張したのだけれど、私の人生は君しか考えられない。人生を共にする君と、これから先ずっと幸せに暮らしたい。同棲した時も教えたけど、私は絶対に嘘をつきたくないという自分のポリシーがあります。だから、私の秘密をマチちゃんだけに教えます。これから先隠して嘘をつき続けるのは私も君も苦しいと思うから。
私がマチちゃんと付き合う前に交際していた女性のことをこの手紙に記したいと思います。
私と元カノとの朝の出来事なんだけど。
私が目を覚まして体を横に向けると、昨日愛し合った彼女が寝ていたんだ。まだムスーと寝ていたし、私も彼女も昨晩は激しかったから首を絞めた跡は残っていた。疲労困憊させてしまったのかな、と思った。昨日は私も彼女も、珍しく気持ちが昂りすぎたから。強く、強く愛し合ったことを思い出して気持ちの良い余韻に浸ったんだ。
上半身だけ布団をめくると、朝の冷たい空気が自分の皮膚に当たってひんやりした。そうだ、服を着ないまま寝てしまったのだと気がついてね、ちょうど近くに置いておいた自分のバスローブを体にまとってテレビをつけた。そしたらテレビ番組の左上に今の時間が映っていたので確認したら、ホテルのチェックアウトまで残り1時間だった。
私は良いが、彼女の方は化粧などあって時間もかかるだろうと思って焦った。一度起こす時間が遅くて怒られたことがあったから。早めに起こしておかないと。彼女の肩をシトっと触ったら、彼女の肩が冷えていた。そのまま寝てしまったのだからきっと冷えたのだろう、私は布団を肩までかけてあげた。愛おしい彼女の顔を見たら、一瞬
目を開けたまま彼女は死んでいた。
うわ、と声が出た。もしかして、私は犯罪者になってしまったのだろうか?どうしよう、アリバイは?
でも、と彼女の顔に近づけた。私に一番愛されたタイミングであの世にいけるって、とても幸せ者じゃないか。ベッドで一緒に寝ている時、スヤスヤと息を引き取るなんて。彼女の開いた目を見ながら、1時間のタイムリミットの中激しく自慰をした。これが、私の秘密だよ。
優しいマチちゃんのことだから、私の行なったことも暖かさたっぷりに認めてくれるよね。プロポーズに応えてくれたんだから。
マチちゃん、私はね君のことが大大大大大好きだよ。君しか考えられないぐらい君に夢中だ。その証拠に、君のことを考えて自慰をしたハンカチを一緒に入れておきます。元カノのこともあったけれど、私は君に種を植え付けたい!幸せにするよ、死んでからもずっと、ずっと。
マチちゃん
愛しているよ。