『ひとり親けんこう白書』第3章 つながりとピアサポート イントロダクション
つながりとピアサポート
ピアサポートとは対等な関係の助け合い
ピア(peer)とは仲間、対等、同輩といった意味の英語です。同じような問題や経験を持つ人同士が、対等な関係性の中で助け合う、当事者主体の取り組みを「ピアサポート」と呼びます。
対等な関係性の中で助け合いが起きるピアサポートの可能性は、さまざまな支援現場で期待されています。
しかし、ピアサポートは自然発生的に起きるものではありません。それぞれの当事者の現在の状態に配慮しながら、効果的なピアサポートが起きるために必要な条件を揃えていく必要があります。
深くつながりたいという欲求を
誰もが持っているわけではない
「つながり」は大事。それは誰もが認める真理でしょう。それはピアサポートの最初の一歩です。しかし、支援の現場ではピアサポートを急がず、「深くつながらない選択」も尊重するという姿勢も大事です。人とつながるにはエネルギーが要るからです。「今は、そんな体力は無いよ」という人もいるのです。
セルフケア講座の参加者の声に耳を傾けると「30分の講座の中で、自分が話すのは30秒と短いのが気がラクでちょうどいい」という声もあります。
「心身ともに疲れ切っていて、誰とも深く関わりたくないと思っていながら、でも心の奥底では少しだけ 誰かとつながりたいっていう欲求があったんだと思う」という心情を話してくれた人もいました。
はじめは軽いつながりから
力を取り戻していく
誰かと深く繋がるのは億劫だけど、画面の向こう側に、仲間の気配をちょっとだけ感じられる程度のつながりに幸福感を感じるという段階の人もいるでしょう。そんな感覚を言葉にしてくれた参加者がいました。
「ストレッチ自体は動画サイトなど無料のコンテンツでもできますが、こうした場で他の仲間とつながってみんなでやる、というところになんだか幸福感がありました」(参加者アンケートより)
セルフケア講座は、こうした段階の人も安心して参加できるよう、他者とのつながりを過度に礼賛せず、まずは自分自身とつながることの大切さをうたっています。
自分が満たされると
人とつながる意欲がわく
自分の体や心をセルフケアする習慣がついて、健康状態がよくなってくると、人ともっと深く繋がりたいという気持ちが湧いてきたり、 お互いを助け合えるような余裕がうまれたりします。
画面の向こうにいる他のシングルマザーの笑顔が見られると、幸せな気持ちになる。この人たちともう少し話してみたいな、もっと深い話もできたらいいなという欲求が湧いてくることもあります。そういったニーズには、セルフケア講座だけでは応えられないため、「グループリフレクション」という次のステップを用意しています。
は第3章「つながりとピアサポート」の章で詳しくご紹介します。
以上、「つながりとピアサポート」のイントロダクションをご紹介しました。次回はグループリフレクションというアドバンスプログラムの具体的な内容についてご紹介します。
https://www.singlemomssisterhood.org/singlemoms-health
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