5Sの知識を無限に増やすより、まず始めよう
断りを入れておくと、偉そうに提言しているタイトルは現在の自分への自戒である(笑)
以前、入社前について書かせてもらったけど
今日はその続きのお話。
引っ越しと断捨離
前職の退職日と家業への入社日が決まったので、有給消化中はせっせとお引越し。
学生時代から数えると5回目の引っ越しだし、退職の3か月前に名古屋に引っ越したばかりだったので引っ越しはもう慣れっこ。
ただ今回の引っ越しはアパートから実家へのお引越し。家電や収納で使わなくなるものもあるし、実家の自室は広くないので色々と処分する事にした。
それに自分の中で
一回人生楽しんだ。生まれ変わってと思ってやり直そう。
という想いがあったので結構思い切って捨てた。ちょうどその頃こんまりさんの「人生がときめく片付けの魔法」がヒットした後で私も読んでいたので、サクサクと進んだ。
今まで私を支えてくれたり楽しませてくれた物たちには「ありがとう」とお礼を言って処分。
物が少なくなったおかげで、これから大事にしたい物達を使いやすく、見てテンションが上がるように配置できた。
さぁ、いよいよ入社。
「え?私やる事ないの?」
社長である父からは「現担当の経理が辞めた時に経理としてやっていけるように勉強しといて欲しい」とは言われていたので既に簿記とはなんぞや?ってところから勉強は始めていた私。
しかしその時はまだ前任の経理がいたので、私はしばらく別の仕事をするはずだ。社内の事を覚えていくんだろう。何からやるのかな?誰が教えてくれるんだろう?しっかりと教育してもらおう。
半分くらいワクワクしながらも社員からは全く反応のない入社のあいさつを済ませ・・・誰も仕事を振ってくれないので社長に「私は何から覚えていけば良いですか?どなたに聞けば良いですか?」と聞くと
社長「・・・・?会社の中は自由に見ればいい。やることくらい自分で見つけろ」
それで「え?私やる事ないの?」となったわけです。
教育体制の整った企業から、フリーダムな町工場に転職するとは恐ろしい事だとこの時思った。
私「分かりました。では色々見てきます。」と一人社内見学へ。誰も社内ルールとかも教えてくれないからね。笑
ここが○○室かぁ~!ここに部品が置いてあるのね!
とはならない。
何の目的の部屋なのか、物置なのか工場なのかゴミ捨て場なのかさっぱり分からない。この会社で作っている装置について知ろうと思ったけど見れるところにはゴミしかなくて分からない。
分からない事は聞かないと始まらないと思ったので質問していくものの、全てに「あ~最近しばらく使ってないからね、まぁ大丈夫」という謎の返事が来るし、突然入って来た27歳の何も知らない女子に何度も答えの出ない質問ばかりされるので明らかに鬱陶しいという表情をされる。
学ぼうと思っても、教育つけてももらえないし質問しても教えてもらえない。泣きそう。寂しい。
そうだ、お片付けをすると気持ちが切り替わる!!と、入社前の断捨離を思い出して作業着を着た。
ゴミ袋を持ち、軍手とマスクをし、前髪ちょんまげスタイルにして「元」工場だと言われたシャッターの中を片付けていく。明らかなゴミと私で判断できないものに分ける。
判断できないものは社内の人に聞く。「これは全部捨てて良いよ」とか「あー・・・今度やるわ」とか言われる。分からなくてもとにかく分かるものだけでもどんどん進める。
すると2週間後くらいには時々工場から一人来てくれるようになった。私がゴミか部品か分からないものを仕分けしてくれて、サイズ別に箱に戻してくれる。助かった・・・!
作業しながらご家族の話とかも聞けた。
2か月後には「元」工場だと言われていたゴミのたまり場が「仕掛品置場」として使われ、空いている時には貸し出す事も出来る様になった。
↓この工場
この経験から学んだこと
5S活動というのは製造業の工場ではおなじみの言葉ではあるが、その効果は5Sの知識をつけた時よりも実践して実感した時の方が語れる。
やればやるほど先が見えなくなる5Sだけど、やらないと「悪くなる」未来がやってくるのは明白だ。
ゴミで埋まった「元」工場が使える工場に再生できた事で、変わったのは工場だけではない。
・私の寂しかった心が「私にも出来る事がある」に変わった
・社長や工場長が今まで買い過ぎだったという事に気付き「まとめ買い禁止令」を発出した
次の年、大した改革を行ったわけではないのに超久しぶりに黒字を出せたのは・・・ちょっとした意識改革のおかげだったのかもしれない。