詩『腐りかけの乙女』

題名
『腐りかけの乙女』
(隠しテーマ・優しくしないで)

(不適切な表現があります。申し訳ございません🙇)


 キム・スヒョンさまーって夢中だった老婆が、ある日からヴィランズの魔女になる。

 て、ファンタジーの世界じゃなくて現実ね。


 もう50才を過ぎて、老後とか年金とか持病のはなしばっかり会う友達としてた。私はもう恋愛もずっとしていない。いや、すみません、していないんじゃなくて、できない!ですね。

 これでも若い頃はイケイケでけっこうモテた。

 親の介護をしだして恋は忘れた。

 独身の行き遅れのババア。


 数年前に両親も亡くなったけれど、私の心は勘違いしててまだ若いらしくクソジジイたちは気持ち悪い。かと言って若い人が私を好きになる可能性がないことは分かる。だからすべてを諦めて、涙の女王のキム・スヒョン様に今は夢中だったのです。

 そうなのです。

 諦めても恋はしたいのです。

 ババアでも腐りかけでも恋心はあります。


 先日、バイト先の上司が移動になり若い正社員の男性がやってきたのですが、なんと知っいる人でした。

 母が利用してたデイサービスのスタッフで当時はまだ20代前半?で青年でした。でも熱心で優しくて、私と話が合うのか合わせてくれていたのか分かりませんが会うと会話がいつも盛り上がって介護の辛さを少しだけ忘れられました。

 その後に実は転職され結婚もされていて、今回移動でこの町に戻ってきたようでした。


 十年以上も歳月は過ぎているのにずっと友達だったように会話がスムーズにできた。

 彼は初めて来た慣れない職場で私を頼ってくれるようになっていきました。

 昼休みは一緒に食べることも増えた。


 ある日、ぽつりと離婚の話を聞いた。

 奥さんからそんな話をされているようでした。


 実は今度の休みに二人でデートです。

 彼の友達に赤ちゃんが生まれたので、お祝いを買いたいからと一緒にお店に行ってアドバイスすることになったのです。ドキドキしてる。

 あ、奥さんは仕事だと言ってた。


 20才くらい歳下の若い男を妻から奪い取る熟女?って、口に出してみるとドラマっぽくてすんごい。でも私だからヒロインじゃなくて、悪役だね。白雪姫なら老婆に化けた魔女だ。


 妄想は終わり。

 叶わない恋。こい?…恋なのかな?


 でも、デートの日、シャワーを浴びて、高いシャンプーの試供品を使用して、髪のセットも久しぶりに本気を出して、化粧も明るい窓辺に移動して真剣になって、洋服選びも若い頃に着ていたものまで出して気づけば2時間くらいファッションショーしてる。

 私、乙女だわ。


「待たせた? ごめんねー」

 そう言って手を振ると急にその手が恥ずかしくなりぎこちなくなる。

「いや、ぜんぜん。それより今日はすみません、せっかくのお休みに僕の用事に付き合ってもらって」

 そう言って笑う顔はかなりカッコいい。


 私は舞い上がって駐車場の車止めに躓いてコケそうになった。するとサッと私の手をつかんで次に背中を支えて助けてくれた。

「すみません、もうおばあちゃんだから足腰が弱くて」

 私は変なハイテンションで変なことを言ってしまったら、

「おばあちゃんなんて冗談でも言わないで下さい。僕の綺麗だと思うものを否定されたら本気で怒りますよ」

 彼にそう言われた。


 心の中で、優しくしないでってつぶやいた。

 これは本気になる、やばいやつだ。


 ってか、こいつは恋愛詐欺師で私は被害者って関係になるのかなぁってことまで考えた。


 腐りかけの乙女の恋心は、高層ビルの屋上のふちでダンスを踊り始めた。



終わり、なのか、
つづく、なのか。





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