詩『子猫』
『子猫』
夜の塾の帰り道
電信柱の影に段ボール
そこには白とこげ茶色の
まんまるおめめの
子猫がいたの
「あった場所に捨ててきな…」
父には叱られ母は知らんぷり
頬ずりしては鼻をすすり
泣きながら歩く
絶望の秋
私だけが救える…と
安否が気になり朝に見に行った
子猫はおめめウルウルさせ
差し出す牛乳
ペロペロ舐めた
学校帰りの帰り道
子猫がいなくて、探しまわってた
「拾われたのよ」と母は言った
それならいいねと
嘘つき笑う
数日後の日曜日
道路に転がる死骸、あの子猫
私は知らぬふりで逃げた
殺したと思い
心を閉ざす
何がこの世の正義なの?
大人になってもずっと分からない
故郷に帰りベビーカー押す
おギャ~と泣くたび
ドキってしてる…