映画オタクな私のレビュー 「プレシャス」
昔、映画館で観た「プレシャス」について。
09年のアメリカ映画。
ドキュメンタリーっぽい作りで
自然でリアルで
淡々とプレシャスの日常を描いてるんだけど
とってもとっても良かった♡
これはハーレムで
実際に起こっているであろう話だと思う。
ハデさもないし
表面的な部分だけでいうと
一見、そんなに大きなミラクルも起きてない感じなんだけど…
日常の些細な幸せを感じれる「心」を
彼女は持っていて
当たり前のことを
当たり前だと思わない。
彼女にとっては当たり前ではないから。
そして彼女にとっての当たり前は
皆にとっては当たり前ではないこと。
どんなにどん底の中にあっても
不平不満があっても
自分の人生に満足できてなくても
人は日々
生活して行かないといけないわけだけど
それを黙々と
淡々とこなすプレシャスそのものが
「プレシャス」な存在だ。
プレシャスが家出して
フリースクールの先生が
何日間か彼女を先生の家に
泊まらせてくれるシーンのセリフが好き。
先生はレズビアンで
恋人と一緒に住んでるんだけど
2人とも自分の母親とは違って
すっごくプレシャスに優しくしてくれる。
2人はごく普通に
当たり前に
皆にもそうしているように
プレシャスにも優しくしてくれるんだけど…
彼女にとっては
すごくホカホカして
あまり味わったことのない不思議な気分なんだ。
「この人たちは他人なのにママよりも優しくしてくれる…
なぜなんだろう??」
私も同じようなことを思ったことがある。
私の場合は
ママはとても良い人なので
ママが世界で1番優しい人なのだけど
うちは親戚と仲が良くなくて
優しくしてもらった思い出なんてほとんどない。
それに交流していたのもだいぶ昔の話だ。
友達もほんとうの友達と思える人は
一握りで
あとはみんなそこそこな感じだし
一時的なもので
誰かと一緒にいて
愛情をそこまで感じたことはない。
けど昔、NYで知り合った黒人のおばさん
アリスは
異国の人種も違う赤の他人の私に
とても親切にしてくれた。
その時にプレシャスと同じことを思った。
「この人は他人なのに、血のつながった親戚や
身近な友達よりも私に優しくしてくれる。
なかなか人から愛情を感じることが出来ない私に
とても深い愛情を感じさせてくれる。なぜなんだろう?」って…
とっても愛情深い人だからかな?
クリスチャンの家系だからかな?
誰にでもそうなのかな?
それともう1つ好きなシーン。
プレシャスとフリースクールの先生が
パーティーが終わって
一緒に2人並んで座ってるとき。
先生がめずらしく悩み、落ち込んでいる。
その時、プレシャスの心の声がこう言う。
「いつもみんなに光を照らす人がいる。
でもそういう人も時に滅入ってしまう。
けど誰にも頼れないから、自分で頑張ってまた元気になる。
そしてまた誰かに光を照らすんだ」
プレシャスが妊娠した時に
お世話になった男性看護士や
ソーシャルワーカーの女性や
フリースクールの先生、仲間たち
それに2人の子供たちが
ささやかだけど、プレシャスに幸せを与える。
その1つ1つが
リアルに、ていねいに
愛にあふれて描かれている。
信じられないくらい
最悪の境遇でも
人はほんの些細なことで
幸せを感じることができる。
そこには「愛」が不可欠だ。
プレシャスはデブでブスで醜い。
けどだんだん彼女が
とっても魅力的に
そして可愛く見えてくる。
最後には愛らしくなる。
それはプレシャスの魔法だ。
彼女の持っている人間性が放つ「光」だ。