【フードエッセイ】片道128.5kmドライブして超美味しい豚丼を食べてきた
3月20日 春分の日。
私も夫も、基本的に祝日は仕事が休みである。しかし忙しい日々が続いていた夫の職場は、先週末の時点では春分の日も休日出勤の予定だった。
それを聞いた私は、何か夫が喜びそうなものを買いに、日頃はなかなか行けないちょっと遠くの道の駅まで一人で出かけようと思っていた。
そう、昨年11月の勤労感謝の日の時のように。
しかし、
「休日出勤無くなった!」
月曜日、残業を終えて帰宅した夫が嬉しそうに言った。
「春分の日の?」
「そう。出なくても大丈夫になった。」
「良かったねー!」
ほっとした私は、
「仕事だったら、一人で浪江の道の駅まで買い出しに行こうと思ってたんだよ。去年のあの時みたいに。」
と、夫に正直に告白した。
すると、
「じゃあ浪江行くべ」
夫がやや食い気味に言う。
「大丈夫?疲れてない?」
「大丈夫。全然余裕。」
「そしたらさー・・・」
夫と一緒に福島の浜通り方面に出かけるなら、浪江町よりもう少し向こうにも行きたい場所があった。
「ちょっと遠いけど、私も交代で運転するから、買い物だけじゃなく久しぶりに豚丼も食べに行かない?」
豚丼。
こんがり焼いた豚肉に甘辛いタレをからめてごはんにのせたもの。
北海道十勝地方のソウルフードでもある一品であるが、我々夫婦にとって豚丼といえば、福島・楢葉町の「豚壱」さんのそれである。
初めて食べたのはもう6〜7年前。たまたま東京に出掛けていた際に日本橋にある福島県のアンテナショップ「ミデッテ」に豚壱さんが出店していて、美味しいから是非と知人に勧められ足を運んだのが最初だった。
めちゃくちゃ美味しかった。
タレの美味しさにビックリした。
正直、豚丼という食べ物にあれほど感動したのは初めてだった。
それ以来、東京に出かける際はミデッテのフードコーナーの出店予定を確認するのが習慣になり、私が宮城に来てからは浜通り方面に泊りがけで出かける際の昼食の定番にもなっている。
そう、泊まるんなら迷わず行く場所。
しかし、日帰りとなると、要相談。
何故なら我が家から豚壱さんのある楢葉町までは、片道128.5km、往復257km。
元北海道民で長距離運転には慣れている私にとっても、片道120km超えはなかなかの距離。しかも、いくら夫婦で交代しながらの運転とはいえ、ここしばらく残業続きでお疲れモードな夫にはこの距離の移動それ自体がちょっと申し訳ない提案かも、とも思う。
その反面、疲れてる時こそ豚肉って元気が出ていいんじゃね?という思いもあっての提案でもあった。
「いいね最高だ。」
少年ジャンプ読者歴50数年の夫が漫画「アンデッドアンラック」のアンディの口癖そのままに言う。余談ではあるが私もまた夫の影響でジャンプを読むようになってからアンデッドアンラックにハマり、アニメ化される前からコミックスを買い揃えているアンデラファンである。ちなみに私の推しUMAはループ前のスプリング。最高の死、ってテーマのひとつがあの場面に、って語り出したら止まらないので話を戻す。
「ありがとう!でも疲れてない?」
「全然余裕。青森より近いし。」
つい先日、仙台から青森まで運転した我々夫婦。これまで以上に距離感がバグッている気がしないでもない。
(仙台と青森の距離は敢えて書きません。気になる方はネット検索をどうぞ。)
何はともあれ。
ふちが程よくカリカリになるよう焼かれた薄い豚肉にたっぷりと絡められたタレは甘すぎず辛過ぎず風味豊かでまろやか。豚肉も美味いがごはんがまた美味い上にこのタレ。タレだけでごはんがすすむ美味さ。さらに、豚肉の上にぱらりとかけられた白胡麻がまた絶妙なアクセント。
美味い。たまらん。
夫が注文したのは焼きそばとミニ豚丼のセット。
この絶妙の豚丼のタレを生み出すお店の焼きそばなんて、そりゃあ絶対美味いに決まってるのだが、予想よりさらに美味しかったらしい。
いつもなら必ずひと口シェアしてくれる夫があっという間に完食したため「美味しかったらしい」としか書けないのが悔やまれる。次は私も注文しよう。
今回も大満足。
豚壱、おススメです。
長くなってしまったので、買ってきたものについては、また改めて。
楢葉町も、浪江町も、美味しいものに溢れていた。
そして、楽しかった。
また行きます。