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青森・本八戸の居酒屋にて

 毎年春の大型連休を利用しての北海道帰省では、仙台港発着の太平洋フェリーを利用している。
 今回も往路は太平洋フェリーでの旅だったのだが、予約した時点で復路は希望していた便がキャンセル待ちの状態。ならば八戸経由で帰ろうかと、復路は苫小牧発八戸行のシルバーフェリーを利用した。
 八戸港に到着したのは5月5日の早朝だった。
 そのまま宮城県まで車を走らせ帰宅することも出来たのだが、せっかくの機会だからと三沢市に立ち寄り寺山修司記念館と三沢市散策を楽しんだのは、先にnoteに書いたとおりである。


 その日の夜は、JR本八戸駅の近くに宿を取り、居酒屋で八戸の海の幸を楽しんだ。

刺身盛り合わせ

 刺身盛り合わせには、薬味として定番のわさびの他に菊花の酢漬けが添えられていた。
 さっぱりとして美味しい。
 菊の花をお浸しや酢漬けで食べるのは山形の食文化、という印象があったのだが、八戸でも食べられているのを今回初めて知った。こうした発見があるから、旅先の居酒屋は楽しい。

エイヒレの唐揚げ

 そして、北海道にいた頃に居酒屋でよく食べていたエイヒレの唐揚げ。
 薄い衣はサクサク、中の白身はふっくら。こりこりの軟骨とあっさりとした白身の味わいが美味しく、ビールがすすむ一品。
 夫は石巻出身だが、エイヒレを唐揚げで食べるのは今回が初めてだったという。
 そんな夫も大絶賛。
 気に入ってもらえて良かった。

金目鯛の煮付け

 そして、金目鯛の煮付け。
 自宅で魚を煮付にする際は甘めの味付けなのだが、こちらはあっさりとした醤油味の煮付だった。鯛そのものの甘味がふわりと口の中に広がる。

 これは日本酒に合うよね、とビールから日本酒へ。

 刺身、唐揚げ、煮魚と堪能し、お次はちょっとツマミ的なものがいいねとメニューを見れば、三陸産ワカメの唐揚げという予想外の一品が。

 「え?ワカメの唐揚げ?」
 「食べた事ある?」
 「無い。食べたことある?」
 「無い無い。頼んでみようか?」
 「んだな。頼むべ。」

三陸産ワカメの唐揚げ

 「美味ぇぇぇぇっ!」
 「なんだこれサックサク!めっちゃ美味しい!!」

 どうやったらワカメをこんな素敵なおやつ風の唐揚げに出来るのか。
 夫婦で大感激。
 酒がすすむことこの上ない。

青森・中村亀吉の「亀吉 特別純米酒」を三陸産ワカメの唐揚げとともに

 青森の日本酒がまた美味い。海の幸との相性抜群である。
 酒も魚も美味しいとくれば朝まで飲み明かしたいところではあるが、翌日は青森から宮城までの長距離運転である。この夜は互いに日本酒は一合までにしておこうねと話していた。
 とはいえ、日頃なかなか飲めない酒をメニューに見つけてしまうと、ついついこれも気になるねぇと夫婦で顔を見合わせてしまう。

青森・桃川の「杉玉 純米吟醸」をタコのわさび和えとともに

 悩んだ末、タコのワサビ和えをツマミに追加し、青森・桃川の「杉玉 純米吟醸」を一合だけオーダー。
 二人で分け合ってじっくりと味わい、この夜は〆とした。


 今回は居酒屋一軒だけでじっくりと楽しんだが、本八戸駅周辺には屋台村もあり、気になる飲食店がいくつもあってこの夜もたくさんの人で賑わっていた。
 次回は屋台村ではしご酒もいいかもしれない。
 こうして好きな街が増えてゆく。
 旅は、楽しい。


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