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セリ鍋と日本酒の季節

 「寒いですねぇ」
 今週に入ってから、この言葉を何度口にしたことか。
 気温が急降下した今週の仙台では、数日前の朝に平野部でも初雪が観測された。馴染みの取引先の方などが職場を訪れるたび、どちらからともなく「寒いですねぇ」と挨拶代わりに言っていた気がする。寒くなりましたね。いよいよですね。タイヤ交換はもう済ませましたか?愛子(あやし/仙台市内の地名)のあたりはもう道路が白いらしいですよ。等々。

 しかし、故郷の北海道は「初雪」だの「降ったらしい」のレベルを越えて、もうすっかり雪景色だという。

 札幌では路面電車の線路に積もった雪を払うためのササラ電車まで登場したと聞けば、寒い寒いと言っていたことに申し訳なさと恥ずかしさを感じたりもしてしまう。
 おのれはマイナス30℃がザラだったところに長年住んでいたくせに、宮城移住3年ごときでプラスひとケタ程度の気温を寒いなどとぬかすようになったのか、ずいぶん軟弱になったもんだな、と。

 でも、寒いものは寒いのだ。
 北海道とは、住宅環境が違うのだ。こちらには二重サッシも無ければ床暖付きのでっかい灯油ストーブも無いのだ。
 マイナスひとケタでも、体感温度的には真冬の道央や道北並みに寒いのだ。

 こんな日は、
 鍋だ。

昨夜の晩酌風景

 昨日は仕事帰りに所用にてイオンに立ち寄った。食材を買い足す予定は無かったのだが、宮城・名取産のセリに値引きシールが貼られていたのを見逃せず購入。ついでに鶏むね肉も。
 帰宅後、水を張った大きなボウルにセリを入れ、根元の泥をしっかり落とす。セリを水に浸している間に、買い置きしてあった白菜とネギ、冷凍庫の椎茸とシメジを取り出す。買ってきた鶏むね肉はひと口大に切る。白菜はそぎ切り。ネギは斜め切り。切り終えたら椎茸とほぐしたシメジと一緒に鍋に入れて水を注ぎ、蓋をして火にかける。出汁は顆粒のかつおだしを少々と酒、みりん、醤油少々。
 具材に火が通ったら一度火を止め、しっかり洗い終えたセリをざく切りしたものを加える。再び火にかけ加熱すること30秒。これで、シャキシャキの食感と独特の味、そして香りをたっぷりと楽しめる冬の味覚・せり鍋の出来上がり。

 「美味ぇなぁ。」
 「やっぱり鍋だねぇ。」

 夫婦で味わい、お腹の中から心まで温まる。

 魚は、宮城・塩竈で加工されたタラの味醂干しと、サンマの味醂干しを焼いたもの。

塩竈のタラの味醂干し焼き

 そして、合わせたお酒はこちら。

 宮城県加美郡加美町・中勇酒造店さんの「天上夢幻 特別純米酒 さんまに合うお酒」。
 これはサンマに限らず美味しい食中酒だな、との夫の言葉に私も同意。
 サンマはもちろん、タラにもセリ鍋にも合う美味しさ。


 寒いのは苦手だが、美味しいもので季節の移り変わりを実感できるのは、幸せだ。
 感謝してたくさん食べて、元気に過ごそうと思う。



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