#28 自勉嫌いさんは時間泥棒ではなく、学習文化と見解が違うだけの人。
【28日目】会話でインプットしようとする人が同じ学習グループにいると、その人のために無駄に時間がかかる。単語や文法は本やネット、YouTubeでいくらでもインプット出来るのに。こういう人を制御できないから、学校や集まりから、熱心な人が消えていく。【本帰国まであと72日】
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英会話スクールの学習グループや、英会話イベントなどの参加者には二種類いる。
「(自勉でインプットしてきたことを)アウトプットしに来る人」と「インプットしに来る人」だ。
自勉せずに会話だけでインプットする人は、当然だけれど、インプットの量が不足しているので、いつまでたってもまともに話せるようにならない。
保持する語彙が小さな子どもレベルなのに、大人同士でいったい何を話そうというのか。
こういう人に限って、積極性があるので、その他のメンバーは稚拙な質問や発言に付き合わされるハメになる。
「英語 会話 語彙数」で検索すれば、どのくらいの語彙が必要なのかはすぐにわかる。
英語に関しては5,000語が目安で、日常会話の約95%を理解することが可能だといわれているようだ。
もちろん、時制によって変化する動詞は、過去形と過去分詞形も覚えなくてはならない。
それらを覚えるためにはどうすれば効率的なのか、自分に合った勉強法や参考書などは、スマホでいくらでも探せる。
それなのに、やろうとしない。
なんでもかんでも質問をして、みんなの時間を奪って涼しい顔。
こういう時間泥棒がいると、アウトプットの時間を削られるので、やる気のある人は去っていく。
この時間泥棒の精神メカニズムについて、手近なシンガポール人にたずねてみたところ、こういう時間泥棒系シンガポール人はめずらしくないのだという。
シンガポールでは、児童生徒は何でもすぐに質問するように言われているし、教師はすぐに正解を教えるのだそうだ。
「自分の頭で考えても、それが正解ではなかったら、考えた時間が無駄だから、最初から正解を知るべき。」というのがシンガポールの教育での基本的な考え方だそうで、それが染みついているのだろう。
もちろん、このようなやり方は高校生までで、大学生になれば自分で考えることも要求される。
しかし、自分で考えたり、調べたりすることは面倒なので、金銭やプライドの危機が発生しない場合は、やろうとしないのが普通らしい。
「お金を払って学校へ行ったり、集まりに参加するのは、なんでも教えてもらえるからだよ。なぜ、自勉しなくてはいけないの?」
とまっすぐな目で言われたら、こちらは黙って去るしかないというわけだ。
こういうタイプは、日本人にもよくいる。
「こんなにお金を払ったのに、ぜんぜん英語が話せるようにならない!」
と本気でブチ切れてくる駐妻さんがたまにいるとかで、英会話スクールの仕事も大変だなぁと思ったものだ。
手近なアメリカ人にも訊いてみたが、アメリカでは質問の内容はともかく、発言する行為が積極性として重要視されるので、質問をすることは絶対的にいいことなのだそうだ。
どんなに初歩的な質問でも、他の人にとっては復習にもなるし、それを他の人にとっても有意義にするのが教師の腕の見せ所だという。
理屈はわかった。
「時間泥棒」と一刀両断するのではなく、単なる「文化と見解の相違」と捉えるべきであろう。
そして、その相違が楽める場合は良いが、ストレスとなったときに、似た者同士で人は集まりたがるのだ。
実際、コロナが流行する前から、集まって学ぶことに伴うストレスから自由になりたいという需要はあった。
しかし、英会話スクールのマンツーマンレッスンは高額だし、自主的な集まりなどではメンバーの当たり外れが極端だった。
そこで低額のオンラインレッスンや、オンラインサークル、言語交換アプリなどに人が流れるのは当然だろうと思う。
この流れは止められないし、対面方式はジャンルにかかわらず、縮小していく一方だろう。
人々の分断が進むのは必然であったのだが、コロナウィルスの登場でそれがスピーディーに、顕著になっただけに過ぎない。
とにかく、さまざまなものの変化のスピードが速くなっている。
「ボーっと生きてんじゃねーよ!」というやつだろう。
チコちゃんに叱られる前に、褌を締め直していかなければならない。