競合の穴を探せ! ポジショニング戦略の成功事例

ポジショニング戦略とは、商品やサービスについて独自の優位性を持つポジションを築き、ターゲットとなる顧客の頭の中に差別化されたイメージを植え付ける戦略のこと。

簡単に言えば、市場における自社製品(サービス)の立ち位置を戦略的に決めることを指す。

ジャマイカ:競合よりも優れている部分にポジションを置いて成功

カリブ海のジャマイカには、観光地としてバハマ諸島、プエルトリコ、ヴァージン諸島、バミューダの4大ライバルがいた。

どこもジャマイカより観光客数が多く、特にバミューダは「ビーチとモーターバイク」というポジショニングで認知度を確立。ジャマイカは観光戦略で遅れを取っていたのだ。

対策を打ち出すべく、ジャマイカは自分たちのブランド要素を細かく洗い出した。そして、ひとつのアイデアが生まれる。

ジャマイカといえば、海に浮かぶ緑豊かな大きな島で、ゆったりとしたビーチ、涼しい山々、広々とした高原、おいしい水、そして雄大なジャングルがある。

こうした環境は、まるでハワイと同じであった。

そして、ジャマイカの敷地が他島に比べてダントツに広く、ダントツに高い火山山脈ブルーマウンテンを有する。見所が多く、遊び方も色々あるという長所もハワイに似ており、それは他の島では表現できないものだった。

そこで彼らは「カリブ海のハワイ」というポジショニングを見出し、独自の優位性を確立。

「美しい自然やきらめくビーチ、年間を通して穏やかな気候――わざわざ遠いハワイまで行かなくても、カリブ海のジャマイカで手に入りますよ」と訴えかけるプロモーションがヨーロッパで大ヒットし、大きな成功を収めた。


ダンキンドーナツ:競合と争わないポジショニングで成功

アメリカのダンキンドーナツは、全米最強のコーヒー・チェーンであるスターバックスに勝つという大きな野心を抱いていた。

その実現に向けて実施した大規模な調査では、アリゾナ州、イリノイ州、ノースカロライナ州のダンキンドーナツ・ファンに週100ドルを支払い、スターバックスでコーヒーを購入してもらう。同時に、スターバックス・ファンにも同じように対価を支払い、ダンキンドーナツを買ってもらった。


すると、ダンキンドーナツ・ファンはスターバックスを気取った流行り物として毛嫌いしており、スターバックス・ファンはダンキンドーナツを地味でオリジナリティがないものとして毛嫌いしていることがわかったのだ。


この調査はダンキンドーナツに重要な示唆をもたらした。

それは、ダンキンドーナツはスターバックスでないということ。

スターバックスには「サードプレイス」という明確なビジョンがあり、そのビジョンに基づいて座り心地の良いソファやwi-fi環境、おしゃれな内装などが整備されているのだ。

一方、ダンキンドーナツはいわば、「街にある普通のコーヒーショップ」。

ターゲットも違えば、顧客に提供する価値も異なるのだ。

ダンキンドーナツは「ごく普通の人のためのコーヒーショップ」というポジショニングを改めて確立し、現在に至るまで「ごく普通のコーヒーショップ」が好きな多くの人たちに愛されている。

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