軽自動車推しも最近は悩む【本当にいい選択か・・・】
車好きの中には「軽なんて・・・」という人もいるのだが、私はずっと軽自動車を大事に思ってきた方の人間だ。その理由は以下である。
〇 国内販売の1/3が軽自動車という現実
この数字は無視できない。安易な軽廃止論は市場を冷やし、減少を続ける国内市場に大きな打撃を与える可能性が高い。つまり景気の悪化につながる恐れがある。
〇 地方にとって絶対必要なもの
いなか出身、田舎暮らしの私は身を持って実感している。一軒に4~5台当たり前の地方では、都会より所得も少ない中、登録車の税は大変な負担。
地方に若者の車離れは存在しない。生活ができず、持っていない人はなし。地方の人が単価は安いとはいえ、車をたくさん買って支えているという一面もあるため、軽んじられる理由はない。
〇 軽は技術的にも意味がある
軽の規格外は認められない。デザインだけでなく、パッケージング、小さなエンジンでしっかり走らせること。燃費もいいこと。低価格で商売を成り立たせることなど、ちょっと大きくすれば解決することを、規格内でやらねばならない。これは日本の技術力を確実に上げている。そして、世界的にも小型モビリティの時代が到来しそうな雰囲気の中で、必ず糧になる。
このように、軽は大事。軽廃止論はだめ!と言ってきた私だが、ここ1年は少し迷うようになったのも事実。
軽も変わらねば・・・
車が高くなることは理解している。軽であっても規格内に入っているだけで中身は登録車と変わりないし、装備に至っては軽のほうが良いくらいである。電動化や安全装備・運転支援などコストはかかる上、原材料価格も上がっている。日本よりお金持ちの外国と同じ値段で買わないと部品も売ってもらえないだろう。
しかし、250万円以上になってくると車の評価軸は変わってくるようと思う。ホンダはフィットとN-BOX。スズキはスペーシアとスイフト。乗って思うのは小型車の良さ。走りの良さ、乗り心地のよさ、安心感の高さなど、同じような値段なのに小型車はやっぱりいいのである。軽に乗っていると「これは250万円の乗り心地ではないですね」となってしまうのだ。今まで安いから許容されていたことがそうでなくなる。そういう領域に軽は自分で飛び込もうとしている。そこが私が手放しで「軽いいよ!おすすめだよ!」と言うことに悩み始めた核心なのではと考えている。
これは昔のカローラと同じ分かれ道で、かつてカローラはVWゴルフと比較され、いろいろと言われていた。しかし、当時ゴルフは250万円以上。カローラは150万円。評論家が何を言おうとユーザーは特に気にしていなかった。だが、カローラも300万円になると話は変わる。トヨタは本気でヨーロッパ車と対抗できる車を作り、以前のように欧州車よりやっぱりダメですね!とは言われなくなっている。
軽自動車も小型車の領域に飛び込むのであれば、自然と小型車を凌ぐ乗り心地、操安性、静粛性を手にしなければならなくなる。そういう車作りに変わっていかなくては生き残れない。そうすると国内だけで勝負することは生産のボリュームを考えると厳しくなってくる。海外では日本の軽が注目され、中古車の輸出も増加しているようだが、軽を先進国で公式に出せないのはひとえに世界基準の安全性を備えないからで、今後はしっかりそこをクリアして、世界戦略車になる必要があるだろう。そうした流れの中では、主にボデーサイズでの軽規格の拡大はありえると思っている。