星占いなら11位
息を切らし眼鏡を曇らせ、駅までの道をひた走る。
おかしい。
寝起きが腐っているわたしはアラームを10個もかけ、6:30には目を覚ます。
シャワーを浴び、着替え、化粧をして、7:20に家を出る。
はずだった。
6:30には目を覚ましていた。のっそりと起き上がり布団を蹴飛ばす。
浴室へ向かう。
お湯が出るまで時間がかかるので、トイレに行っている間なんかにシャワーを出しておく。
お湯が出ると気温も上がるので、冷蔵庫みたいな洗面所も暖めるため浴室のドアは開けておく。
ところでうちのシャワーは困った子で、水圧が強すぎるとホルダーを外れてぎゃおん!と上を向きたがる。
そう、その通りだ。
彼は洗面所に向かってぎゃおん!した。
トイレから出たわたしがナンジャコリャアアと太陽にほえたことは言うまでもない。
この時点で完全なるタイムロスだ。
どうにか洗面所を脱水し、準備を済ませ、電車を1本遅らせた時間で家を出た。
近所の小学生がわらわらと集まり、列を作って登校している。
ふう、外は平和だなあ。水たまりに反射する光もやけにキラキラぼやぼやして……
あ、めがねわすれた。
くそう。
うっかり裸眼でも生活できる視力なばっかりに。
人の話を聞いたり仕事をするとなると、話は別なのだ。口元がぼやぼやしているとうまく聞き取れない。
既に5分ほど歩いた道をダッシュで引き返す。
もはや靴を両方脱ぐ時間も惜しい。片足ケンケンで部屋を駆け抜け眼鏡をつかむ。
再度家を出た時点で残り11分だ。
駅まではふつうに歩いて20分。状況は絶望的だ。しかしわたしは諦めない。
登校中の小学生達とは3回も顔を合わせてしまった。
あのおばさん何やってんのと思われたかな。こらこらおばさんじゃない、おねーさんでしょ。
本日順調だったのは布団を蹴飛ばすところまでである。
忘れ物がないかテーブルの上を見回していたら、シャワーをゆるく出していれば、朝ごはん抜きでランニングすることも無かったかもしれない。
ええい、タラレバ言っていても仕方がない。タラもレバーも食べたいなあもう。昨日もっと早くお布団に入るべきだったなあもう。
わたしは息を切らし眼鏡を曇らせ、駅までの道をひた走る。