ギャラクシー"ジェネシス•コード"ー乱動する希望と毅然とした願望ー
地獄の釜から出ることができても結局得たものは無かったよ。
それだけをつぶやくと彼は用意されていた水を一気に飲み干した。
簡素なテーブルに空のコップが置かれてひとときの静寂が部屋の空気を支配する。
尋問されている自覚がまるでない彼のたたずまいは審問官の情緒に少なからず影響を与えている。
まるで自分たちの方が品定めされているかのような彼の悠然とした態度は審問官の思考を空転させていて得るべき情報はまるで無しだ。
このままでは私の個人IDから市民権が剥奪されるのも時間の問題かもしれな