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映画「ララピポ」〜人生を笑お
2009年
成宮くん出演作の中で一番好きな作品。数え切れないほど見ています。
原作は奥田英朗のめちゃくちゃ面白い同名小説で、その世界を壊さない映画です。
しかし、嫌いな人は嫌いだろうな。
セックス、暴力、犯罪、、と目をそむけてしまいたくなるような、人間の憐れなサガを描いているから。
とはいえ、軽妙なセリフ、ファンキーでオシャレな音楽、個性派の役者さんたちの演技力によって、ジメジメ感のない、最後にほっと笑えて、もちょっと生きてみるか、、と思える作品になっています。
オムニバス形式
風俗専門スカウトマン、コミュ障のフリーライター、デブ専AV女優、妄想癖のあるカラオケ店員、、、一癖も二癖もある人たちのディープな生活。
森三中の村上さんがデブ専AV女優を演じてるんですが、そのエピソードがすごい。
飲み屋で淋しそうに一人飲みしている男をナンパ、お持ち帰りしてセックスを隠し撮り。それをAV店に直に売り込みにいく。(その店主がコラムニストの勝谷誠彦さん)
男達は、最初は普通にセックスしているのに、だんだんブスだデブだのと罵り、虐げ、殴る。
普通なら人生に絶望しちゃいそうだけど、彼女は声優になる夢を持っているからなのか、生きるための仕事と割り切っているからなのか淡々としている。そこに悲壮感がない。
風俗スカウトマンの栗野健治(成宮寛貴)は親のネグレクトのためか、嘘つきで薄っぺらで、人を信じられない。
強請りたかりで連行されるは、事故に遭うは、散々な目にあうけど
それでも立ち上がって、「これしかできないから」とまた路上でスカウトする生活に戻っていく。
そこにも悲壮感はない。
人って案外そんなものかもしれない。
事実は小説より奇なりとは言うけれど、多くの人の人生は、ドラマにも小説にもならない。日々が淡々と過ぎていくだけ。
他者から見たら悲壮な人生でも、その人にとっては普通の日常生活に過ぎない。
普通の日常の中に、ほんの少しだけスパイスがあればいいよね。
ちょっとだけ美味しい物食べたり、ちょっとだけ人と繋がれたり、昨日より今日、今日より明日、少しずつ変化すればいいよね。
鈴木おさむさんの紹介文の一節
誰だって不幸だ。誰だって悲しい。誰だって秘密がある。
でもそれを笑っていこう。ちょっとだけ幸せになれるから。
この映画を見終わったとき、私もそんな気持ちになりました。
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とにかく栗野健治のヴィジュアルが素晴らしい。
成宮くんの演技が素晴らしい。
栗野はしょうもない男だけど、成宮くんの天性の品のために画面が下衆にならない。クルクル変わる表情の演技で飽きない。粗野もあればかわいさもある、かっこよさもセクシーも堪能できます。