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新型コロナウイルスとの闘いは続く:前編(2020年7月4日)

7月2日、東京の1日当たり新規感染者が100人を超えました。世界各地でも新型コロナウイルス感染症の拡大は続いています。第2波の襲来か?との声も聞こえますが、The Economistは「世界はまだ第1波すら乗り越えていない」としています。一方でこれまでのウイルスとの闘いで見えてきたこともあります。長期戦をどう乗り越えていくのか、人間の知恵と努力が問われる日々は続きます。今日は記事の前半を共有します。

英語原文は、以下からどうぞ:

新型コロナウイルスとの闘いは続く(前編)
2020年7月4日

新型コロナウイルスを封じ込めるためにあらゆる施策が講じられているにも関わらず、感染は驚くほど急速に拡大している。新型コロナウイルスが初めてThe Economistの表紙に登場した2月1日、世界保健機関(WHO)が報告した1日の新規感染者数は2,115人だった。それが6月28日には19万人に達した。つまり、6月28日には、2月1日に報告された1日の新規感染者数が90分ごとに報告されていたことになる。

これは世界が流行の第2波にさらされているということではない。第1波が終わっていなかっただけである。現在までに約1,000万人の感染がほぼすべての国で報告されている(南極大陸、トルクメニスタンと北朝鮮では報告されていない)。中国、台湾、ベトナムのようにウイルスの封じ込めに成功したように見える国がある一方で、ラテンアメリカや南アジアの多くの国では感染が拡大している。また、米国のように対策のコントロールを失うリスクを抱える国や、アフリカ諸国のように流行の初期段階にある国も存在する。ヨーロッパはその中間に位置している。

最悪の事態はまだこれからだ。マサチューセッツ工科大学のチームが84カ国を対象とした調査によると、新型コロナウイルス感染症の報告1件につき12件が報告されておらず、また死亡2件につき3分の1件が他の原因によると誤認されている。医学的な解決策がなければ、2021年の春までに感染者数は2億から6億人にまで増加し、その時点での死者数は140万人から370万人に達すると予想されている。そのような状況になったとしても、世界人口の90%以上にまだ感染リスクがある。もし抗体が一過性のものであれば、こうした数はさらに増加するだろう。

これからの展開は、社会がこの感染症をどうコントロールするかにかかっている。感染のメカニズムが判明するなど、明るい兆しも見え始めている。新型コロナウイルスは室内や人混みで飛沫感染する。貧困層や高齢者、基礎疾患を持つ人は感染リスクが高い。ウイルスを封じ込めるには3つの手段がある:行動を変えること、検査・追跡・隔離を行うこと、そしてそれらに失敗した場合はロックダウンを行うことだ。検査体制が不十分であるほど(実際に多くの国で政府が十分な検査体制を構築できていない)、残る2つの手段に頼らざるを得なくなる。しかし、公衆衛生の徹底に多額のコストが必要なわけではない。例えばムンバイにある人口85万人の貧しい地区であるダーラヴィでは、感染の制御に成功している。

研究と臨床経験により、治療法も改善している。大規模なワクチン接種は早くてもまだ数ヶ月先となりそうであるが、最初の治療法がいくつか登場している。この感染症の場合は、早い段階で人工呼吸器の使用でなく酸素投与するのが有効であることが判明しつつある。治療法が改善していることは、英国で、集中治療室に移行する入院患者の割合が3月末の12%から5月中旬ー下旬には4%に低下していることからも見て取れる。(続く)

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