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パンデミックが浮き彫りにしたアマゾン:前編(2020年6月18日)

有名人の似顔絵だけれど、この人誰?って思った人もいるかも。でも口元よーく見てください。。。このマーク知らない人は日本人でも少ないですよね。今週号のThe EconomistのLeaders(看板記事)に登場した、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスです。昨今のパンデミック→オンライン化の加速でますます成長しているアマゾンですが、The Economistはその台頭をどう見ているのでしょうか。全文の和訳を2回に分けて共有します。

英語原文は、以下からどうぞ:

パンデミックが浮き彫りにしたアマゾン
2020年6月18日

1995年の夏、ジェフ・ベゾスは黙々と、地下室で妻と一緒にペーパーバック版の本を箱に詰める作業をしていた。それから25年たった今、当時の瘦せっぽちだった男は、おそらく21世紀で最も力を持つ実業家となった。筋骨隆々のバツイチで、宇宙飛行や新聞社の資金繰りに趣味で参加し、ウォーレン・バフェットからは称賛を、ドナルド・トランプからは罵声を浴びている。ベゾスが創業したアマゾンは、書店から始まり、今や時価1.3兆ドルのデジタルコングロマリットとなった。アマゾンは消費者に愛され、政治家にはこき下ろされ、投資家やライバル企業の間では負けを知らない会社となった。パンデミックでデジタル商取引が急激に拡大する中、電子商取引、物流、クラウド・コンピューティングの中枢をなすアマゾンは、アメリカやヨーロッパの一般の人々の生活にとっていかに重要な存在であるかを示している。昨今の情勢下でベゾスは、経営の最前線に戻った。時価総額で世界第4位につけるアマゾンにとって、これ以上の好機はないようにも見えるが、実は社会的立場の脆弱化、財務の肥大化、競争の再燃という問題に直面している。


デジタルの急増は、消費者がトイレットペーパーやパスタなどの日用品をオンラインで大量注文することから始まった。アマゾンの第一四半期の売上高は前年同期比26%増となった。4月中旬に経済支援策として給付金の小切手を受け取ったアメリカ人は、オンラインショッピングの範囲を拡大した。ライバル2社、eBayとコストコは、オンライン売上が5月に急増したとしている。需要に応える在庫の争奪戦が起こり、ベゾス自ら毎日、在庫を確認していた。アマゾンは17万5000人のスタッフを雇用し、3400万組の手袋を確保し、新たに12機の貨物機をリースして82機体制を敷いた。電子商取引の急増を支えるのはクラウドコンピューティングと決済システムのインフラである。アマゾンのクラウド部門であるAWSの第1四半期の売上高は33%増加した。

問題は、この急激なデジタルブームが陰りを見せるかどうかだ。店舗は徐々に再開しており、アクリル板で遮蔽されたレジで支払いをしなければならないにせよ、客は戻り始めている。デジタルブームの一部については持続する兆しが現れている。パンデミックによって、従来のユーザーに加えて新しいユーザー層が誕生しているためである。米国では60代の「シルバー」顧客がデジタル決済口座を開設している。多くの伝統的な小売業者が大打撃を受けており、J Crewやニーマン・マーカスを含め数十社が債務不履行に陥ったり、その瀬戸際にある。過去1年間を見ると、eコマースで成功している倉庫業の株価は、ショッピングモールオーナーの株価を48ポイントも上回っている。(つづく)

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後編もお楽しみに!


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