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何年キャリアを積んでも、「新しい間違い」ができているか?

2014年。大企業で10年勤めた後の起業1年目は失敗の連続でした。当時声をかけてくれて一緒にお仕事させて頂いた方々にご迷惑をおかけしてしまったなあと、そしてたくさん学ばせていただいたなあと染み入るように振り返っています。

僕の仕事は、新しい商品や施策を考えることですが、当時僕は、これからは一層自分で責任をもって仕事をしていくわけだし、お金をいただくのだから相手の役に立たなければならない! という強い想いで、一生懸命「正しいっぽい」「カッコイイっぽい」ことを言ったり提案したりしていました。一から勉強し直そうと、経営や他の事業の成功失敗例を貪るように調べ、企画業に活かそうとしました。そこから具現化していく企画は全然ありませんでした。

5年たった現在、ようやく僕は、「新しい間違いをする」という役割を担い、パートナー企業と一緒に仕事を促進させることができるようになってきました。

会議でもっともらしいことを発言し、仮にパートナー企業の決裁者が「それいいね。検討してみよう。」などと言い、現場担当者がその企画を進めていくことになったとしても、まずほとんど成功することなく、途中で頓挫したり、誰の魂も入っていない商品が出来上がってしまったりします。

事業を具現化することは本当に大変で、それには一人の企画開発担当者の人生を掛けるほどの情熱が必要です。いわゆる外部から来たブレーンみたいな奴が一方的に考えたアイデアを、自分ゴトとして魂を込めて具現化することは極めて難しい。

僕は、ブレーンを気取って、うわべの自分の責任を果たそうと取り繕っていたのだと思います。まさに、自己中というやつです。

もしブレーンを名乗り、相手にとってもう一つの頭脳になるならば、その頭脳の役割は、相手がやりたいことを固めるために、相手ができない間違いを先にしてあげること。それが分かるまで丸2年かかりました。

僕は今、完全に自社のみで自由に作る新商品や記事に関しては、できるだけ世の中の総ツッコミを引き出せるようなものを世に出しています。それを見たみんなはいろいろなことを考えます。「あいつ、失敗したな~」と思う人もいるでしょうし、「私だったらこうするな~」と思う人もいるでしょう。そんなふうに、様々なツッコミや気づき、一人一人の発想を引き出す間違いをするのが、特にこれからの時代のブレーンの役割なのだと今は信じて、毎日一生懸命考えています。

その凹が持つツッコミ所から、実際にモノを作る主役となる担当者が、「そうじゃなくて、私がやりたいのは、こう!」という方向性を見つけ、分かり、その仕事に魂が込められていくことが、成功です。

お仕事をいただきながら、間違いを場に出そうという姿勢をとるのは、勇気がいることでした。報酬をいただくのなら、正解を出さなければいけないのではないか。使えない奴だと思われるのではないか。果たして、それは仕事と言えるのか。

新しいことはもう、個人の経験から生まれる間違いからしか生まれません。「イケてるっぽいこと」からは何も生まれないのです。

相手の凸を引き出すために、こちらが凹になる。それっぽい適当な凹でもなければ、誰も意味が分からず「シーン」となる凹でもなく、みんなが思わずツッコミたくなり、埋めたくなる凹。急にそんな間違いをつくるのは難しいですが、一つコツを挙げるなら、当てにいくことと、あえて間違いにいくことを行き来することで、みんなが気持ちよくツッコめる間違いが生まれやすくなります。フリ⇔ボケを繰り返すことで、ツッコミを呼びこむというイメージです。(間違ってばかりでも、ダメということですね。)

そんな凹を見つけることこそが、仕事に役立つ「アイデア」だったのです。アイデアの専門家を名乗りながら、必死で凸のアイデアばかり考えていた僕は、数年かかって、シンプルで面白い問いになっている間違いこそが、人を動かし、新しい仕事を生み出せるアイデアなのだと分かり、ようやく自分の仕事も面白くすることができました。(とはいえまだまだ道の途中ですが…。)

社内で評価されたり役職を意識したりしていた大企業時代にも、このことに気付いて、その役割ができていたら面白かっただろうな、と思います。それは、とても難しいことかもしれませんが、間違い仲間を1人、また1人と周囲に作っていけば、できたんじゃないかなと振り返っています。今、幸運にもそういう組織にいる人にはぜひトライしてみて欲しいです。新しい間違いができる人こそ、評価されるべきです。(そういう人は、「評価」される必要もないのかもしれませんが。)

最後に、間違いの重要性を分かって、こんな僕と一緒に新しいことを作るお仕事をしてくださる懐の広い先輩後輩、友人の皆様に心から感謝する日々です。引き続き、よろしくお願いいたします。


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