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おとなの階段のぼるシンデレラになるのはまだまだ先だと思っていたあの頃

ぼんやりYouTubeを徘徊していたら、ジンジャー・ルートというアーティストのMVを見た。

中国系アメリカ人アーティストで、日本のシティポップをこよなく愛しているらしい。
映像系の大学を出ているので、映像も自分で作っているという。
面白いな~と思いながら色々あさっていたら、「Loneliness」というMVがあって、アイドル「竹口希美子」が失踪し、そこに居合わせた、曲を作ったジンジャー・ルートがアイドルとして歌う事になるという謎展開。
ちなみにこのMVのなかで空港で歌うシーンが出てくるが、実際に「ザ・ベストテン」での松田聖子の歌唱シーンを真似しているそうだ。
そしてMVの中でアイドル、ジンジャー・ルートは人気者となり、竹口希美子のように追い詰められていくようになる。

面白いのは「竹口希美子」の曲もちゃんと存在してること。

竹口希美子はアマイワナが演じていて、彼女の曲をジンジャー・ルートが本当にプロデュースもしている。

で、ジンジャー・ルートは去年のフジロックに出ていたそうで、全然チェックしていなかったことが悔やまれる。
でも去年の夏は個人的にそれどころじゃなかったしな…などと急に思い出してしまった。
まぁ、それはいい。

さて、このMVの何が私の琴線に触れたかといえば、楽曲がどストライクなのもあるけど、やっぱり80年代の空気を表現していること。
「人は生まれた頃の音楽に帰る」という。
私は70~80年代のアイドル全盛期に育ったので、その頃のものを見聞きするとどうしても甘酸っぱい気持ちになる。
雑誌の付録に、顔だけ写真で体が漫画のトシちゃんやマッチ、聖子ちゃんが書かれた「なぞなぞ本」がついていた時代。
「りぼん」の裏表紙のかわいいリップやコロンの広告。
私のお兄ちゃんが原宿で吉川晃司に会ったんだって!とか、今度のジャッキーの映画は日本が舞台だよ!とか。
中学生になって誕生日に買ってもらったWデッキのラジカセで、初めて録音した曲は山下達郎の「踊ろよフィッシュ」だった。

♪おとなの階段のぼる 君はまだシンデレラさ

そんな歌を、まだまだ自分には先の話だと思っていたあの頃。
自分が階段をのぼりはじめた頃にはバブルは終わり、知らない間に氷河期世代というものになっていた。

そういう実際の日本人としての体験はないジンジャー・ルートは、音楽はわかるとしても、その時代の「雰囲気」に憧れを抱いたのはなぜだろう?
去年、日本のテレビで「中国系のアメリカ人としてアメリカで育ってきて、同じアジア人として自分にもできるかも知れない、と思った。」
と語っているのを見た。
近くに感じられるカルチャーに出会った、という事なんだろうか。

そういえば、私が絶賛応援中のTravis Japanのメジャーデビュー後の楽曲も、どこか懐かしさを感じさせる。
AGTに出た時には「オールドスクールなところがいい。」と言われていて、ファンも彼らのそんなところが好きなんだと思う。
楽曲で言えば、「LEVEL UP」はそのものズバリ80~90年代ジャパニーズPOPカルチャー「GAME」(海外的にはnintendoか)をぶち当ててきていて、海外の人のリアクションを見ていると、このMVはとても喜んでもらえてるのがいるのがわかる。
コレオもマリオジャンプや太鼓の達人が入ってたり、私も大好きなMV。

さらに「Candy Kiss」は曲もダンスも80年代のマイケル・ジャクソンを彷彿とさせ、サンプリングしているのでは?とファンの間で話題になった。

最新曲「Okie Dokie」は、宮近くんのセーターの柄がノースキャロライナみたいで、ドリフ大爆笑の合間に流れる不二家のCMっぽくて私は好きだ。
オールドスクール、いいじゃない。


5つ上の兄が音楽の好きな人だったから、朝、小学校に行く前にマイケルの「Thriller」や、マドンナの「Like a Virgin」のMVの話を聞かされていた。
70~80年代は音楽の世界で、MVが花開いて行くタイミングだったんだろう。
私自身も高校生の頃、マイケルの「Black Or White」でモーフィングというものを初めて見てびっくりした。
そういう時代。
(余談だが、このMVにはショートと完全版があり、完全版は最後に黒豹になったマイケルがガラスをたたき割って回る場面が暴力的だと批判もあったが、ガラスに書かれた文字から、このMVが差別に強烈なNOを示す作品であることがわかる。)


さて、そういえばシティポップの流行もあり、日本に限らず海外でも80年代のジャパニーズカルチャー風MVが人気があるようで、そういえばそういうMVって結構あるよねと、私が好きなMV(もちろん曲も好き)をいくつかピックアップ。

まずはこれ。
Daft PunkのOne More Time。
いやもうびっくりしたよね。
80年代というより、松本零士のアニメだもん。
(正確には70年代になるのかもね。)

サカナクション「忘れられないの」は、杉山清貴だ。
「SHOCK」というMVも80年代深夜情報番組っぽくて、曲もいい。

CHAIの「We The Female!」は、色々なTV番組が入っている。
演奏シーンはイカ天かな。

アニメMVで私が好きなのはさよならポニーテールの「ナタリー」。
これはもう、子供の頃見ていいたアニメの世界を空気ごと表現してくれている。
これを見ると「愛してナイト」や「おはようスパンク」などのアニメを思い出す。
「魔女っこメグちゃん」や「未来警察ウラシマン」風のタイトルもある。

意外なところで、旧ジャニーズのアイドルもやっていて、Sexy Zone の「Purple Rain」。
セクゾは「THE FINEST」という曲もMVがあるのだけど、こちらの方が濃度が高い気がするのでチョイス。
なにせタイトルがPurple Rainだし。
歌い方も80年代の空気にマッチしてて好き。
セクゾもほんといい曲が多くて、アイドルだと思って聴かない人がたくさんいるのかもなと思うと、なんとかしたい気持ちになる。

80年代のジャパニーズPOPカルチャーかと言うと具体的に示すことができないけど、The Chemical Brothers の Eve Of Destructionもエッセンスが入ってる。
70年代のヒーローものの方が色が濃いかな。

最後はimase「Nagisa」は、ちょっとそれ風に作ってみた感じ。
このガチじゃなく、思い入れとか無しで力を抜いてるとこがなるほどね~、と。

この他にも好きなMVがいくつかあって、少しだけリスト作ってみたので、お暇な方はどうぞ。

とにかく、昨日からこのジンジャー・ルートにやられてしまい、再来日することがあったらぜひとも生で聴いてみたいと思っている。
彼の他の動画も面白いので、皆さんもチェックしてみて欲しい。
これはチャンネル登録が10万人の時の動画。

最新の動画は蛍の光に乗せて2023年を振り返っているのだけど、3月で吹いた。

そういえば、この人を忘れていた。
マシュー南として私たちを楽しませてくれた、藤井隆。
ジンジャー・ルートが80年代初めなら、藤井隆は80年代中頃から90年代。
この辺のオマージュは、「あの商品をイメージしてるな。」とリアルに想像できる。
またこういうの作ってくれないかなと思っているのだけど。


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