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前途多難の北陸新幹線延伸
今月発刊された『鉄道ジャーナル』2025年4月号の特集「前途多難の整備新幹線」を読み、北陸新幹線の関西方面への延伸計画が予想以上に難航していることに衝撃を受けました。
今後の延伸区間である、敦賀から新大阪までの区間については、関係自治体の駆け引きの結果、今のところは小浜市を経由して京都に至る「小浜・京都ルート」が有力視されていますが、そもそも京都市の中心部という、すでに都市化されて歴史的建造物の多いところを南北に貫いて、今の京都駅に新幹線を乗り入れる構想に相当な無理があり、加えて、京都市内の地下水への影響や伝統産業への懸念もあって、地元自治体や市民、仏教界からは反対の声が上がっています。
京都市の松井孝治市長も「地元として要望しているわけではない」と述べており、計画への慎重な姿勢が伺えます。
小浜・京都ルートが暗礁に乗り上げていることを受けて、一部には敦賀から米原を結ぶ「米原ルート」により整備すべきとの声もあるようですが、東海道新幹線の代替機能を果たせないことや、関西と北陸間の所要時間短縮につながらないとの指摘があり、代替案としては、あまり魅力的ではありません。
仮に、これらの課題が今後解決し、諸々の工程が順調に進んでも、北陸新幹線の全線開業は早くても2050年以降になるようであり、それまで敦賀での分断状態が続くと予想されています。
確かに、敦賀分断の長期化は避けられない現状を踏まえると、誌面でも主張のあったように、関西方面から北陸への直通特急を復活させ、当面は在来線特急での利便性向上を図ることが現実的ではないかと感じます。
新幹線は関東や信越からの需要に応える形で運行し、関西と北陸間は在来線特急でカバーすることで、地域間の交通利便性を確保できるのではないでしょうか。
北陸新幹線の全線開業までの長い期間、利用者の利便性を確保するためにも、柔軟な対応が求められると考えます。