社畜操縦術としては絶妙
昨日は、経営トップに説明する会議がありました。
毎週のように、経営トップに対し「戦況報告」をしていた、前の部門の時とは違い、今の法務部門に異動となった4月以降、経営トップと直接会ったのは初めてでしたが、説明事案が四半期ごとの定期報告であり、報告の中身である個別の事案については、難しい事案は、各部門がトップと協議を重ねているはずであり、今回の報告の場は、ある意味、全体のおさらいのような場面になります。
前任者から引き継いだ際にも、そんなに関心がないから深く突っ込まれることはないと言われており、僕としては、おそらくトップにとっては退屈な時間であり、なるべく早くこの儀式的なレクを済ませてしまった方が良いと考え、会議にのぞみました。
しかしながら、いざ僕から説明をすると、事案の中身について深掘りをするというより、我が社の立ち位置がこの事案ではどのあたりにあって、我が社よりシェアが高い他企業はどこで、なぜそれだけのシェアを取れているのか、とか、制度改正の内容は理解したが、これによる具体的な影響は分析しているのか、といった質問が次々と飛んできました。
僕も事案の中身や仕組みについては十分に理解し、その周辺情報についてもある程度、情報収集してはいたのですが、知識を仕入れたところで止まってしまい、そこから自分なりに分析するところまではやっていないところ、見事に手を抜いたところを突かれた感じでした。
説明が終わったあと、今回は油断していたなと反省しつつ自席にいたところ、同席していた秘書担当役員から連絡があり、何となくさっきのことだろうなと思って役員室に行くと、自分の油断に対する注意でした。
呼び出しはトップの意向を受けてのものでもあったようで、「今回の人事では、あえて相場観のない新天地へ異動させることにした。新しいところでどこまでできるか見ているので、頑張って欲しい」という、トップのコメントも伝えられました。
つまりはトップの口頭試問だったわけですが、社畜的精神を多分に含む僕に対しては、これは非常に効果的でうまいやり方だと、我が事ながら感心してしまいました。
こうしたメッセージが伝えられることがなければ、僕としては、多少の反省はしたのでしょうが、もともと無理筋な質問だったし、仕方ない。そもそも僕の役回りとしては、少なくとも今回の案件については、取りまとめて報告することであり、事案の当事者ではないのだからと、自分を慰めて終わったことでしょう。
ですが、こうしたトップのメッセージが伝えられることで、今後は、トップと同じ目線で、事案を引いた視点から、しっかりチェックして、単なる報告案件として処理するのではなく、多角的に分析する必要があるという気持ちになりました。
完全にトップの術中にハマっているわけですけど、まあ、今回のことを契機に、トップの今回の人事についての「親心」みたいなものがわかった点は、収穫でもあり、今後は、流しで仕事をするのではなく、自分の領域に引き込んで事案を分解し、構造を理解した上で、トップへの説明に臨みたいと思います。