人材難の危機感を持つ
昨日の、重要な会議の場でのピンチヒッターの体たらくは、組織にとって非常に重要な役割を担うポストに、その重要性を十分に理解していない人物を任せざるを得ない状況にあることが、図らずも露呈したということになります。
裏を返せば、組織内の人材が極端に不足しているという事実を改めて実感する瞬間でもありました。
そして、言わずものがなですが、人材確保の未来は明るいとは言えません。昨今の若い世代の流出や労働市場の競争の激化を考慮すると、この問題は今後さらに深刻化していくことが予想されます。
現状の人材枯渇は一時的なものではなく、もはや恒常的な課題として立ち現れており、若い優秀な人ほど、キャリアの選択肢の中で、より魅力的な職場環境を求めて他の業界へ流れてしまう。これにより、適材適所の考えで必要なポストを埋められなくなり、特に重要なポストには適任者がいないという現実に直面しています。
その中でも一つ救いがあるとすれば、組織には依然として一定の市場占有力があり、少なくとも今のところ優位性を失っていないことです。例えば、独自のノウハウや過去の実績、業界内での信頼度など、これらの「ストック」は組織にとっての貴重な資産となっています。そういう意味では、組織の弱体化により、基盤が直ちに食い破られることはなく、そこは一定の猶予があると見ることもできます。
ただし、この状況も永遠に続くわけではないという現実を理解しなければなりません。ここが理解できていない人間が幹部にも少なくない。時が経つにつれ、これまで積み上げてきたものが徐々に劣化し、いずれ少しずつ、崩されていき、どこかで大きく傾くことになります。
組織が有するストックがあるうちに、次の手を打たないと、社会からその存在価値を問われる時が必ず来るでしょう。その時には、もう手遅れということになりかねません。
僕はこの危機感を組織全体で共有し、今すぐにでも対策を講じる必要があると感じています。まずは、人材育成と確保について、実効性の高い手を打つようにすること。ここは意外と、業界として身動き取れない面もあるのですが、できる範囲で、優秀な人材の処遇を行い、そこへ吸引力を高めていかないと、当事者意識のない集団になり、いずれはまともな船頭さえいなくなってしまいます。船頭多いのもそれはそれで問題ですが、誰もやらないというのも、組織という大きな船にとっては、致命的なことです。
今後の戦略としては、まず若い世代が組織に留まるような環境を整えることが最優先です。入口段階でのキャリアパスの明示と、特定の人に負担が集中しない仕組み作りが不可欠です。外部人材の獲得も引き続きやっていく必要はあるでしょうが、ここに依存し過ぎると、結局、ジリ貧になるので、過度な期待は禁物だと思います。このへん、トップがわかっていないきらいがあり、心配です。
そして、最も大切なのは、組織が何のために存在するのか、社会にどんな価値を提供しているのかを再認識することでしょうね。昨日の体たらくの根源には、ただ与えられた役回りをつとめているだけで、組織の存在意義をわかっていないことにありますので。