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母とデイサービス体験――自由を求める気持ちと介護の現実

 母と一緒にデイサービスの体験に行ってきました。母は以前から、サークルなどでも「年寄りばかりのところに通うのは嫌だ」と言っており、今回の体験もどのような反応を示すか気になっていました。施設自体は明るく清潔で、スタッフの方々も親切でした。しかし、母の感想は予想通り否定的なもので、「一日中、決められたプログラムをこなすだけなのは嫌だし、自分のペースで過ごせないのは違う」と言います。母の気持ちもわからなくはありません。自分の意思とは関係なく、時間割のようにスケジュールが組まれ、参加者の多くは積極的に動くというよりも、流れに身を任せている印象でした。

 現実的に考えれば、母の年齢や、人とふれあいの少ない平日の生活を踏まえると、デイサービスに通うことは悪いことではありません。同世代の方々と会話し、身体を動かし、適切なサポートを受けることは、母にとってもプラスになるはずです。それでも、母の「ここには通いたくない」という率直な拒否反応を見て、無理に勧めることは難しいと感じました。

 また、今回の体験で見えたのは、母が「自由に過ごせない環境」に強く抵抗を示していることでした。認知症が進行するにつれ、いずれは自宅での生活が難しくなる可能性が高いです。ですが、いきなり「いかにも」という施設に入るのはハードルが高いのですね。デイサービスですら拒否感があるのなら、さらに自由の利かない施設への入所は母にとってかなりのストレスになるでしょう。

 とはいえ、このままでは、母の生活の質を維持することが難しくなるだけでなく、僕自身の負担も増えてしまいます。母の意向を尊重しつつ、できるだけ自然に支援を受けられる方法を探す必要があると感じました。そこで、選択肢として考えたのは、段階的にサポートを受けられる施設です。例えば、外出などの自由度の高いサ高住に入り、母の認知症の進行に応じて介護サービスを組み込めるような形であれば、母も抵抗感が少ないかもしれません。

 母のこれからの生活をどうするかは、簡単に決められることではありません。今回のデイサービス体験を通じて、母が「自分の生活は自分でコントロールしたい」と強く思っていることを改めて実感しました。介護の現実と母の気持ちの間で、どう折り合いをつけるか。無理やり決めつけるのではなく、母が納得できる選択肢を探していくしかないと、強く感じた一日でした。



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