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不便な公共図書室のメリット

  近所に不便な公共図書室があります。市内の多くの公共図書館・公民館附設の図書室にある本は、今はネットで蔵書検索ができて、市内のどこの図書館・図書室にあっても、自宅の最寄の図書館に取り寄せて貸し出しを受けることが出来ます。また、人気の本はネットで貸し出し予約することも可能で、2週間の返却期限の延長手続きもネット上で完結します。
 これに対し、近所には独立系の公共図書室があり、市の施設にある図書室なのですが、他の図書館とは別に利用登録手続きをする必要があり、本の貸出は、1冊ずつに1枚の貸出カードを引き換える、昔ながらのスタイルになっています。本の裏表紙には、返却期限を日付の回転ゴム印を押印する紙が貼り付けられていて、これまでその本が、何回貸し出されたがわかるようになっています。
 不便な図書室なのですが、ここの本の品ぞろえは、数は多くはないものの、選本の目利きは確かなもので、僕はこの図書室で良い本との出会いを何度もしています。ネットで人気の書籍を検索したり、書店で話題の本として取り上げられている本ではないのですが、読んでみると思った以上に面白い、それによって新たな世界が広がる、そうした楽しみのある場所です。また、不便ゆえに人気の本があっても、ネットで気軽に検索して予約できる他の公共図書館のように、多くの予約が入っていることはなく、意外とあっさり借りられたりします。駅の近くでもないし、古くからある住宅街の中にある公共施設の一室にある図書室のため、本の貸出回転率は他の公共図書館に比べると悪いと思いますが、個人的には穴場として、これからもひそかに愛用していきたいと思います。

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