独り暮らしの高齢者

  80代になり配偶者に先立たれ、一人暮らしになった高齢者。昔から住んでいて近所に知り合いがいればよいのですが、若いころは別なところに住んでいて、年取ってから移り住んで、近所に親しい人はいない場合、突然孤独が襲ってきて、年齢のこともあって精神的な不安が強くなる、僕の母が今、ちょうどそのような状態にあります。公民館のサークル活動や習い事もしていなかったので、仲間づくりのために急に始めようと思っても、何をやればよいか、80になってから加わって迎えてもらえるのか、不安はあり、感染症が収束していないこともあり、積極的になれないでいます。僕がたまたま仕事の帰りに寄れる場所に今は勤務しているから良いのですが、毎日顔を出すのは、その日にたまった不安や不満をまとめてぶつけられるので、一日の疲れをひきずっている状態でそれを受けるのは、少々しんどいものがあり、土日もそこそこ顔を出していますので、同じようにスパイラルする話を聞いていると、疲れますし、休日にやるべきこともできなくなったしまいます。

 もともと趣味のようなものがなかったり、年齢を重ねて自分の趣味をできなくなった人は、人間関係が疎になった時、どのように生活のハリを維持しているのでしょうか。近所づきあいが希薄になっているのは、都市部ではよくあることでしょうし、仮に近所づきあいがあっても、年齢を重ねれば周りの人に先立たれ、知り合いがいなくなることもあるでしょう。そういう時は、宗教の集まりのようなものが、老若男女を問わないので、同じ志を持つ仲間として歓迎されるでしょうが、最初のうちは良くても、そのうち熱心さを問われるようになり、強い連帯意識もあって、金銭的なトラブルということになりかねません。政治と同様に、宗教も活動において資金が必要で、それによって精神の安寧を得られるのであれば、その活動にお金を出すのは、合理的な行動ではありますが、しばしば度を越してしまうので、そこが難しいところです。対価なしに精神の安寧とか心のやすらぎを得ることができるとすれば、公民館みたいなところしかないのでしょうが、公民館は学びか生き甲斐を趣味の側面から提供する場であって、そういう心の問題とか、趣味や性格は異なれど志を同じくするような活動はないと思います。

 住まいの問題も一人暮らしの高齢者には難題です。持ち家でも経年劣化によるトラブルは起きますし、自治会的な活動は重荷だったりします。そうした地域社会の一員としての責務を負わないで済むのは、高齢者向けの住宅であったり入居施設なのでしょうが、自立した高齢者には抵抗があると思います。

 高齢者の一人暮らしが抱える問題は、僕もはじめて、我が事として真剣に考えることになり、わからないことが多く、日々悩んで調べたりはしていますが、自分もいずれ、直面する可能性のある問題であり、これを契機にその方面の専門家になって、自分が動けるうちに一人暮らしの高齢者にとってより良い社会にしていく、あるいは今後の災害その他の危機に直面して世の中に数多く存在する、独り暮らしの高齢者にとって役に立つ仕組みを考え、セーフティーネットづくりに参画する、自分の親の問題を普遍化して、前に進む糧としたいと思います。

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