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情報を遠ざける人

 僕の下にいて次長として部門を仕切ってくれる人、部門の業務に明るく、大変助かっているのですが、僕より年長にもかかわらず、ずっと次長のままです。

 仕事がシングルタスクで、やや情弱なところもあり、仕事は確かにできるのですが、困難な状況に陥ると、まずは人のせいにして、それから自分のところに心を引き戻し、最後には仕事は終わらせる。

 要は、ちょっと面倒くさい人なんですよね。でも、最後は仕事をする、のところがあるから、次長にはなれたんでしょうけど、トップマネジメントさせるには、ちょっと危ういかなと人事も経営層もみている、そんなところでしょうか。

 とはいえ、人材難でもあり、この人を次長にとどめておく余裕がないはずなので、そろそろ部門長もありなのかな、とは思うのですが・・・。

 今、部門長となるのにネックとなるのは「情報を遠ざける」ことをやってしまうんですよね。

 まあ、彼のキャパとして、処理しきれないので、仕方ないのかなと思いますが、そばで見ていて、見えざる結界を張ってしまうことがままあり、それによる情報の取りこぼしが多すぎる。

 余裕がなくてイライラしている人に、部下は情報を上げにくいでしょうし、上げればだいたい「えーっ!いま、そんな話聞いてられないよ!」となってしまう。

 その後、気持ちを立て直し、受け止める方向には転じるし、それ以上、部下を叱るような理不尽な真似はしないのですが、初動で感情をぶつけられるのは、やっぱり嫌ですよね。

 あとは、思い込みで「そんな話、いちいち俺が聞いてられるかよ。担当に話をして。」と、他部門からの相談も、内容も聞かずにハネてしまう。

 先日も、僕が気になって、相談に来た部門長にそれとなく探りを入れると、個別の事案の相談などではなく、社内で今後、議論になろうとしている、大きな制度変更にかかわる話であり、それで事前に、情報を入れに来たということのようです。

 この次長は、自分の武勇伝が好きで、よく語ってはいますが、見えないところで、こうやって大事な情報を遠ざけていたのだろうなと、思います。

 もちろん、入ってくる情報は、玉石混交だし、本当に致命的な情報は、どんなに結界を張っても飛び込んで来るものですが、今は遠い世界の情報とか、現時点では取るに足らない情報でも、どこでその情報カードが役に立つかわからないし、情報はなんでもウェルカムにしておくと、事前にきな臭さを察知して、早い段階での対策を講じることもできます。

 また、情報を遠ざけると、目の前の仕事はできるけど、人的ネットワークで仕事をすることはできなくなってしまいます。

 どんなに能力が高くても、個人の力だけで仕事をしようとすると、それは限界がありますし、もし自分が倒れてしまえば、物事が動かなくなってしまいます。ネットワークで仕事をすることで、自分の1の力で10の仕事ができるし、そのつながりの中で、相手の仕事も結果的に手伝えば、組織全体のパフォーマンスも高めることができます。

 セクションリーダー、あたりまでは、個人の力が評価されるのでしょうが、部門長、さらには経営層となると、ネットワークで仕事ができないと、そもそも自分が辛い。

 超人的に仕事ができることで、経営層になりおおせた人はいますが、今でも個人でなんでも背負い過ぎてしまい、その役員の管掌する部門は、全体的に仕事が滞っている、そんな話も聞きます。

 そろそろ、来年度の人事の話もあり、自己評価の高い次長は、最短の人間からは何年も昇進が遅れていることに、忸怩たるものがあり、さすがに次は部門長になりたいと、考えているようですが、情報を遠ざけて一人忙しくしてしまう習性がある以上は、申し訳ないけど、僕も推薦はできないなあと、考えてしまいます。

 


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