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法律の森の中でよき解説書と出合う

 僕は法学部出身でもないため、法律について体系的に学んだことはないのですが、それでも試験勉強の関係で、憲法、民法、行政法は学生時代に独学でかじりましたし、仕事でも法令を知らずにはできないので、個別法については当然勉強しました。

 今の職場は法務部門なので、法律抜きには仕事にならず、法律とか弁護士とか法学部の教授といった世界に、人生でもっとも近いところにいるような気がします。

 実務においては個別法の知識の方が役立つのですが、最近は憲法、民法、刑法、行政法といった基本的な法律について、評判の良い本が新たに発刊されていることを知り、確かに中身を見るとよさそうでしたので、実践できる環境にあるうちに、それぞれ1冊ずつ購入してみることにしました。

 憲法は故人となった芦部先生の本が有名で、僕も学生時代、放送大学テキストの「国家と法Ⅰ」と、それをベースに書かれた、芦部憲法を購入しました。最新版はもう第8版なんですね。

 日本評論社の本が、芦部憲法に比べ何が良いかというと、例えば学問の自由について、大学の自治とは具体的にどのようなことかを、判例も紹介しながら丁寧に説明がなされているんですよね。こういう、かゆいところに手が届く本は「(法律の)行間を読むのに使える」と言うようですね。

 この本が取り扱っているのは、民法の一部なんですが、不法行為は守備範囲が広く、日常のトラブル対応においては出番が多いと感じます。僕自身は法務相談の実務を担当したことはないのですが、学説だけではわからないところも埋められており、こちらも行間を読むには使える本だと思います。

 本を開くと、まずは文字の羅列が目に飛び込んでくるような、とっつきにくさもなく、作り手側の工夫が随所にみられる本だと思います。

 刑法はこの、裁判所職員総合研修所のこのテキストを推します。
 基本書に比べコンパクトながら、実務者向けに判例をもとにした解説に重点が置かれており、僕は違法性阻却事由という言葉を調べるのに、この本と出会いました。

 行政法は、塩野先生の本が有名ですが、先月、大学教授のところに伺った際、この本が机上においてあり、ネットで調べてみたら、若手の学者が最近発刊した本として評価が高いことがわかり、購入することにしました。

 こちらは、ページ数が多く、司法試験の勉強をしている人でもない限り、まともに最初から読むと、挫折するような気がします。

 つかみどころのない行政法について、一つ一つマスを塗りつぶすように、網羅的に解説されているので、興味があるところを拾い読みしていくと、隠されていたパネルが一つ、また一つと取り払われる感じで、全体がクリアに視界が開ける、というわけではないものの、ぼんやりと行政法の輪郭が、浮かび上がってくるように思います。

 大学教授によると、行政法は、ドイツや米国の方が面白いし、研究が進んでいるとのことです。このへん、素人にはよくわかりませんが。

 法律の専門家になるわけでも、資格試験を受けるわけでもないのですが、法律は知識や考え方は、社会の中でさまざまな人と交わり暮らしていく上では、人生において長期的に効いてくる学びであり、日々のケーススタディとうまく紐づけながら、学びを深めていきたいと思います。

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