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一時の感情による心ない言動で将来の統合に禍根を残さないようにしたい
先日も書きましたが、娘の高校で、教員不足を背景に部活動の統合が進められています。
娘の所属する部活では統合を前向きに受け止める意見が増えていますが、統合されるもう一つの部活では、顧問の先生をはじめ多くが反対しているそうです。その中には、統合相手となる娘の部活のレベルの低さを指摘する声もあると聞きました。
正直なところ、今回の統合が無理のあるものだと感じるのは、誰にとっても同じではないでしょうか。そもそも、指導者不足の問題を部活動の統合で解決しようとするのは苦しい対応ですし、活動内容やレベルが異なる部活を一緒にすることで、うまくいかない場面が出てくるのは想像に難くありません。そのため、統合に反対する気持ちや、自分たちの部活の存続を願う思いはよく理解できます。
しかし、だからといって統合先の部活を見下すような言動を取るのは、仮にそのことが事実であっても、いただけない言動だと思います。どれほど強く反対したとしても、統合がすでに決まっている以上、現実的には覆る可能性は低いでしょう。そうした状況で相手を貶めても、結局は統合された後の関係を悪化させ、活動そのものをやりにくくするだけです。
娘には、「統合に反対する人たちは、好きに活動させればいい」「相手の発言にまともに取り合って、不毛なマウント合戦をする必要はない」と伝えました。むしろ、統合が決まった以上、こちらは冷静に待っていればいいのです。現実的に、少なくとも1年や2年は形式的な統合にとどまり、実際の活動は別々になる可能性もあります。そして、本当の意味での統合がどうなるかは、次の世代に委ねるべきではないでしょうか。
このような話は、学校だけでなく社会のあちこちで見られます。企業の合併、自治体の統合、業界の再編……変化が生じるときには、必ず反発があるものです。そして、そうした反発が「変化そのものを拒絶するためのもの」になった場合、その先には行き止まりしかありません。一方で、変化を受け入れ、その中でどう新しい形を作っていくかを考えたほうが、長い目で見て生き残りやすいのも事実です。
もちろん、統合に際しては、それぞれの部活が大切にしてきたものを尊重することが重要です。ただ、相手を貶めるのではなく、互いにリスペクトを持って新しい形を模索する姿勢が求められます。どちらかがどちらかに一方的に飲み込まれるのではなく、どうすれば共存し、新たな価値を生み出せるのか。その視点がなければ、統合そのものが失敗に終わるでしょう。
原理主義に陥らず、実を取るべきです。変化に対して「反対だ」と叫ぶのではなく、変わる中でどうやって自分たちの価値を守るのか、あるいはどう新しい価値を生み出していくのかを考える。そのほうが、最終的には自分たちのためになるはずです。