[実体験] ストーカーの心理学。刑罰重罪化でストーカーはなくなっていくのか。
こんばんわサイモン心理大学です。
今回はストーカーについてご紹介したいと思います。
刑事事件が年々少なくなった現代、
しかしストーカーの数は年々増え続けています。
私もストーカーに遭ったとまでは言わないですが、待ち伏せやつきまといに遭ったことがあります。
あの恐怖感は二度と味わいたくないですね。
あなたがストーカーにあったとき、どのように対処すればいいのか
実際に遭遇したなら迷うこと、かと思います。
実際に
多くの若者が、ストーカーに対する防犯意識を持たず、
さらには、自分がストーカー被害に遭っていて相談するべき状況だという認識もできていない場合があります。
自分の身を守るために知る必要があります。
そこで今回はストーカーとは何か
そんなことをお話をさせていただきます。
ストーカー発生件数
令和5年、ストーカーの相談件数は19,843件でした。(生活安全局人身安全・少年課, 2024)
ストーカー認知の実態
まずは、ストーカー被害の実態からご紹介します。
小畑氏ら (2020) が、18歳から25歳までの大学生968人を対象にストーカー被害実態調査を行いました。
調査の結果
これはおよそ7人に1人が被害に遭ったことがあるということになります。
そして
これは、ストーカーというものが、皆さんの身近に存在していると考えていいと思います。
つまり、多くはあなたの知っている人がストーカーになりうるのです。
他の調査でもそうですが、ほとんどの場合、ストーカー相手が「元交際相手」ということになります。
警察へ相談しなかった理由については、
と被害を過小評価していることがわかりました。
また、警察へ相談することに対して
と回答し、ストーカーについてや、警察がどのように対応してくれるかなど
多くの人に理解してもらう必要があるとのことです。
簡単に実態を見てもらったところで、さっそくストーカーの心理について紹介したいと思います。
ストーカーを理解するところからいきましょう。
ストーカーの心理とは
相手の拒否などにより、ストーカー行為をしたとしても自然となくなっていきます。
それでもつきまとったりする者が、いるのです。
その定義は、ストーカー行為者が、
つまり、相手からの拒否、警察からの警告。
これらがわかっていたとしても、ストーカー行為がやめられない場合があります。
自身の気持ちと行動をコントロールすることができない状態なのです。
ストーカー全体の特徴としては、
ということがわかっています。
このような状態の人のことを
精神科医の福井裕輝氏は「ストーカー病」と名づけました。
状態だそうです。
福井氏 (2016)が、ストーカー行為を4つのパターンに分類して説明しています。
順番に説明します。
また、職場の人間、医者と患者の関係、教師生徒などのパターンもあるそうです。
理想の人、タレントやアイドルなどに恋愛感情を抱き、ストーカー化してしまうパターンのことです。
全く知らない人というわけではなく、例えば、友人の友人からストーカーされるようなパターンのことです。
自分の気持ちをうまく表現することができず、ストーカーになってしまうのです。
相手を自分のものにしたい、性欲を満たしたいなどの目的からストーカーとなってしまうパターンです。
また、これらのパターンには、精神的な病が関係しているとのことです。
傷つきやすさももっており、復讐心に代わる場合もあるのです。
また、『見捨てられるのではないか』という嫉妬心からストーカー化する場合もあります。
自分の目的のために他者を利用しようとするのです。
ストーカーを行う理由
なぜストーカー行為を行うのでしょうか。
もう少し深堀ってみましょう。
金政 (カネマサ) 氏らは、ストーカー実態調査のため、1,884人の18歳から39歳の男女に対して郵送調査を行いました。
その結果、
そして
つまり、別れ方や別れた後の経験によっては、男女ともにストーカーになる可能性があるのです。
また、福井氏が、ストーカー行為の原因を2つ紹介しています。
「他人の不幸は蜜の味」とはどういうことか。
この場合、ストーカーを行う理由は、相手を苦しめるためと見ることができます。
相手の苦しむ姿を快楽だと感じ、逆に相手が幸せそうだと裏切られたように感じてしまうそうです。
「感情の整理ができない」とはどういうことか。
つまり、ストーカー行為を行う理由があるわけではなく、やめられない状態だということなのでしょうか。
福井氏が、ストーカー加害者と対話していく中で、
と感じたそうで、感情の整理を促すもなかなか実行できないと述べています。
ストーカー相談
ストーカー被害の相談は、年々増え続けています。
それは、ストーカー被害だと認知するようになってきたという側面もあります。
その中には、相談しなかったというケースも存在します。
なぜでしょうか。
最初に紹介した小畑氏ら (2020) の調査では、
ということがわかりました。
これが暴力の場合でも相談しないことがわかっています。
また、相談について
という理由があることが分かったそうです。
知る必要があり、
相談できない理由にも配慮し、対応していかなければならないようです。
警察の対応
警察にもしも相談した場合、実際に警察がどのように動いてくれるのか見てみましょう
ストーカー被害の相談後、警察がストーカー行為だと判断した場合、
などを行ってくれます。
そして、相談者が危険な状態だと判断された場合は、
一時的に避難できるシェルターを紹介してくれます。
ストーカー (被害者) 専用のシェルターについて、私は知りませんでしたが、
DVのシェルターがあるのは聞いたことがあります。
DVのシェルターの住所は一般公開されていないため、加害者には見つからないようになっています。
ストーカー対策の難しさ
しかし、小畑氏ら (2020) の調査でもある通り
「警察は何もできない」という意見があります。
ストーカー規制法ができる前、あるいは、改正される前では、警察が取り締まることのできない、未然に防ぐことのできなかったケースもあったようです。
現在は違いますと言いたいところですが、実際に対策の難しさは存在しているようです。
ストーカー対策の難しさについて、青山氏 (2016) が警察の立場から3つ紹介しています。
つまり、警察へ相談へ来て、避難することを勧めるが
などまだまだ不十分なようです。
再発防止に関しては、長い期間を必要とし、多くの人員を必要とします。
そのために、地方自治体や関係機関などの助けが必要なようです。
また、被害者やその周辺の人に対して、知識を広める活動もよりしていかなければならないようです。
ストーカー対策
また、ストーカー相談の危険度を判定するチェック票も全国の警察で始まったそうです。
これは福井氏が作成したもので、
加害者の危険度が高かった場合、警察により加害者へ警告を出したり、被害者を避難させ、凶悪犯罪を未然に防ぐことができるとのことです。
また、危険度の高い加害者に対して、警視庁が治療を促す試みを始めているそうです。福井 (2016)
刑罰
日本でもストーカー行為による凶悪事件がありました。
事件が起きるたび、ストーカー規制を改正されてきたように思います。
そこでたびたび言われるのが、
果たして、刑罰を重くすることで、ストーカー行為の抑止になるのでしょうか。
福井氏はこんなことを述べています。
SNSなどの発展により、人と人のコミュニケーションはより希薄になっていったと言われています。
人々は孤立し、自分を認めてくれる何かを探しています。
存在意義を実感することができず、鬱々とした人が増えてきたように感じます。
そんな中、自分に恋愛感情を抱く人に固執してしまうのは、
社会的な現象というべきなのでしょうか。
自分の命の尊さを何で感じることができるのでしょうか。
最後に
以上がストーカーの説明になります。
冒頭に話しました私の付きまとわれ体験ですが、2回ほどありました。
どちらも同性にでした。
当時は、やはり電車を降りるときでも周囲を何度も確認したり、別の駅で降りたりするなど生活にかなり支障がでていました。
私のような初期のつきまとい行為であれ、当時は、現在進行形で被害に遭っているといえる状態です。
動画でも話した通り、ストーカーについての知識はまだまだ認知されていない現状です。
恋人への束縛が過剰になり、自身がストーカー行為となっている場合があります。
自分の気づいていない加害が存在しているのかもしれません。
気になった方は、ぜひ一度ストーカー行為とは何か見てみてください。
※リンクを張っています。
・警視庁, 2024年度閲覧「ストーカー規制法」
引用文献
・小畑 千晴, 中島富美子, 青木 宏 (2020)「若者のストーカー被害実態調査」徳島文理大学研究紀要 第99号
・青山彩子 (2016)「警察におけるストーカー対策」刑法雑誌, 55 巻 3 号 p. 451-458
・篠崎真佐子, 小池安彦, 西田勝志, 廣井亮一 (2018)「ストーカー対応の現状と課題」法と心理学会第18回大会,18,1,34-40
・島田貴仁, 城間益里(2017)「ストーカー・DV・デート暴力被害者の専門機関相談の規定因―相談に関する知識,自己隠蔽,被援助志向性の検討―」日本心理学会第81回大会
・金政祐司, 島田貴仁, 山本 功, 荒井崇史, 石田 仁(2017)「ストーカーについての実態調査 (3) ―愛着不安,自己愛傾向,交際時の関係性ならびに関係破綻後の思考や感情とストーカー的行為との関連―」日本心理学会第81回大会
・福井裕輝 (2016)「ストーカー加害者の病理と介入」刑法雑誌 (55・3・81)
・誠心 心理学辞典 [新版] 誠信書房, 2014, p.427
・内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査 報告書」令和6年3月
・警視庁, 2024年度閲覧「ストーカー事案の概況」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/jokyo_tokei/kakushu/stalker.html
・参考文献
・生活安全局人身安全・少年課 (2024)「令和5年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応 状況について」
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