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読了① 『回復力』 畑村洋太郎 著


本紹介

東京大学名誉教授である畑村洋太郎氏は、本書『回復力 失敗からの復活』(2009)にて個人や企業の失敗への対処法を自らの経験談や実例を用いて述べている。

全189ページ。講談社現代新書。


要点

本書に記載されている「個人ができる失敗への備えや対処法」をいくつか以下にまとめる。

  • 失敗の原因を正確に把握する

  • 失敗を記録する

  • 「被害最小の原理」で対処法を選択する

失敗を拡大再生産しないために、失敗が起きた理由を分析することが大事。
人の頭は、時間が経つと自分の都合の良いように記憶をすり替えてしまう。そのため、失敗が起きた時は失敗を「失敗」と即座に認め、原因追求することが第一ステップ。

失敗という貴重な経験は記録すると次に活かしやすい。「どのようなことを考え」「どのように判断し」「どのような行動をとったか」というプロセスを控えておくと役に立つ。

失敗の対処をする際は、自分の被害が最小となる方法を選択するといい。人は失敗をすると、その事実を受け止める時、問題を対処する時、かなり大きなエネルギーを消費する。自分が思う以上の精神的エネルギーを必要とするため、「自分を守る」ことを第一優先とした解決策を探すことが重要。

そのためには、逃げたり、他人のせいにしたり、無視をするなど「鈍感さという財産」を活用しても良い。これは、日本が個人や社会の失敗に対し、ポジティブな捉え方をする文化が十分に成り立っていないためである。


感想

内容理解に役立った点・読んでよかった点

  1. かなり読みやすい文章

  2. 実例(JAXA, 赤福, バブル崩壊から不良債権処理など)が挙げられている

  3. 社会生活へ活かせる記述が多い

本書は、社会人でも学生でも読める内容で、言葉選びもとてもわかりやすい。東京大学、工学院大学で教授経験のある著者だからこそ、予備知識がなくてもスムーズに読むことができる文章力があるのだろうと感じた。

会社の不祥事への対応や個人の失敗からの回復方など、実例を紹介してくれることが理解を深めてくれた。昨今、企業の隠蔽や不正問題をニュースで頻繁に目にするため、想像がしやすかったことも理由の一つだ。

社会生活では、人との関わりやコミュニケーションが欠かせない。良好な人間関係(法人と個人間も含む)を保つための失敗対処法や回復法について記述があるため、働く人にとって重宝する対応策を学ぶことができる。自分が人を管理する立場になったときにも、実用的であろう記載もあった。

※読みやすい本の定義について補足

上記、内容理解に役立った点について、読みやすいことを挙げた。

私の中の読みやすい本は、「今の自分の知識量で理解ができるか」「今の生活習慣で読破できるか」の2点で判断している。

本を購入する際、内容の一部をその場で読む。
自分が読みやすい文章か、物理的に読みやすい書籍本体か、書体が読みやすいかなどを知るためである。
高度な知識が必要な本や完読できそうにない本は、購入しても読むのに時間がかかってしまい、情報が欲しいときに効率的に読めない。

(実際に、1年半前に購入した 岩波文庫のラッセル著『幸福論』を読み終えていない。執筆されたのが1991年のため、昔の言葉表現であること、書体が読みづらいこと、内容自体が難解であることが理由だろう。。岩波文庫ワイド版があるのだろうか。)


この本おすすめです。

おすすめしたい人

  • 仕事や勉強で行き詰まっている人

  • プロジェクトで失敗してしまった人

  • 課題への対応力を養いたい人

  • 経営を勉強したい人

  • レジリエンスを高めたい人

  • 失敗学を学びたい人

以上、読了本の紹介でした。
本の紹介は初めてなので、note の構成や内容については今後改善していきたい。

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