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【20】 臨時教育委員会・学識経験者編 「否決根拠なしの否決」

さすがにこれだけは。

一つ目を失った私たちは思っていた。さすがにこれくらいは、可決してくれるんじゃないだろうか。だってそもそも、学識経験者を検討に入れずに、周囲を1m以上浸水させる計画を立てた福津市自体がクレイジーなのである。そして、「今からでも学識経験者入れて、R9年の開校に間に合うように学校を建てることはできないか再検討してほしい」、こんなにまっとうすぎる請願ってあるのだろうか。これさえ否決するとしたら、もう意味がわからない。

請願事項
利害関係のない第三者である河川、土木、建築等の学識経験者を交えた検討委員会をつくり、周辺地域への浸水被害を増大させないで済む工法はないか、検討してください。またその検討結果を、開示してください。

例のごとく、まず吉崎教育総務課長が説明を始める。この「まず行政が説明する」という行為自体で、教育委員さんたちにバイアスをかけている状態が、なぜ許されているのかがわからない。

【吉崎教育総務課長】今回実施した新設小学校建設事業に伴う手光今川洪水浸水想定区域への影響調査結果につきましては、浸水想定区域に加え、浸水軽減対策を検討しましたが、手光今川水系に関わる想定し得る最大規模の豪雨、年超過確率1000分の1に対しましては、広い範囲での洪水浸水がわかりましたが、近年の開発もあり、結果的には浸水深影響箇所の解消までには至りませんでした。

まずここですでに嘘がある。軽減対策は、グラウンドと駐車場の盛土2mを、1.7mに下げるというもの。たった30cmしか下げないので、地点9の浸水深(最大1.28m)は、3〜5cmしか下がらないのだ。こんな子どもだましのような軽減対策で解消に至らないのは当然だし、何より「近年の開発もあり」と言っている。

確かに近年の開発で、ここ6年、幅広い流域一帯ではすでに10cmほど浸水深が上がっている。でも、それのせいで、軽減策によって3〜5cmしか下がらなかったというのは違う。今回出た浸水シミュレーションは、すでに近年の開発による地盤高の変化を入れて出し、その上で盛土前後の変化を出しているからだ。なんていう嘘を軽々とつくのだろう。何もわからず聞いているんだろう、教育委員さんたちを前に。吉崎教育総務課長は続ける。

【吉崎教育総務課長】しかしながら、想定し得る最大規模の降雨量については、直近30年の最大降雨量の3倍強であり、広域において浸水が発生するなど、地域の皆様方においては緊急的な避難を行っていただく必要がある行為であること、事前避難や、点検、確認、ため池の底水管理、県への河川の浚渫などのソフト面と、ハード面では内水浸水想定区域図をもとに浸水被害の発生状況や浸水リスク等を勘案して、対応を検討するなど、ハード、ソフト一体となった対策を図っていきます。新設校の建設予定地については、洪水浸水想定区域、高潮浸水想定区域、ため池決壊浸水地に位置しております。いずれも発生頻度や激甚化などから社会全体が、災害リスクの情報を共有し、減災対策に取り組むもので、事前の避難指示や決壊の際、迅速かつ安全な避難が必要であり、施設整備の面では、校舎の浸水防止の観点、それからより近くの防災拠点として地域の災害に備える力の強化につなげること、さらに日常の児童の学習活動に支障をきたさないようにすることなどから、土地のかさ上げによる整備がより有効的な対策と判断しており、さらなる検討委員会の設置や専門家等の招致による検討は考えていないところでございます。

え。ここまできて、意味がわからないのである。前段はなんだったの? 学識経験者は要らないっていうことの理由に、なってた? とにかく長くしゃべったという状況をつくりたかったのか。だとしたら吉崎教育総務課長は、天才だと思う。私には意味がわからなかったけど、教育委員さんたちからはやっぱり問いただす声は上がらなかった。

【村井弥生教育委員】今、心配されて、今、住まわれてる方々に対して、ソフト面とハード面での対策を検討しますということですけど、現時点で何か検討されてる、実施できると思われてることはありますか?

【吉崎教育総務課長】現時点で考えておりますのは、地点9においては、1センチから10センチ程度の軽減にしかなりませんが、国の専門家の知見に基づき、専門業者に委託した調査結果で示した軽減措置、その実施、それから学校内にですね、年超過率30分の1の、洪水調整池の整備、また内水浸水ではありますが、計画降雨の各条件での浸水リスクをお示しし、この結果をもとに浸水被害の発生状況や浸水リスクを勘案して具体的な検討を行っていくことを考えております。

  • 村井さん、教育部はね、「軽減できるのは、1〜10ではなく3〜5センチだ」と一般質問で佐伯さんから指摘されたのに、まだ1〜10センチと言い続けてるんだよ・・・。浸水深1.28mが、1.23mになるんだよ。それを軽減と呼んでいるんだよ・・・。

  • 「国の専門家の知見に基づき」とか仰々しく言ってるけど、これは浸水想定を出す国のマニュアルを学識経験者がつくり、そのマニュアル通りに業者がつくったというだけの話だよ、惑わされないで!

  • 学校内の1200m3しかない調整池は、学校内に降った雨しか貯留しないし、しかも30年に一度の規模の降雨までしか対応しないよ。周辺地域の浸水を何も軽減しないどころか、悪化させるんだよ。福岡県は「責任取らない」って言ってるんだよ。

  • 内水浸水では、盛土前後の違いがわからないから、流域住民にとっては意味がないんだよ。

そして何より最悪なのが、吉崎教育総務課長の言ったその「対策」は、まったく対策になっていないことだった。ただただ専門風に言葉を並び立てただけのものであること。・・・そして目の前でこんなでたらめな会議が進んでいるのに、でたらめさかげんを教えてあげられない。こんな馬鹿げた会議ってあるんだろうか。

【村井弥生教育委員】基本設計のなかで、6月30日の説明会のとき、調整池を東にもっていくのか、西にもっていくのかっていう議論になったみたいですが、これと埋蔵水路、これはたぶん水路を止めないためのものなのかなと思うんですが、地点9の横の水路、これを止めてしまったらあそこが溢れてしまうので、それを止めないためのものかなっていうふうに思うんですが、そこの部分をちょっと説明していただきたいなと。

この村井さんの質問を聞いて、たぶん傍聴席にいた人たちもみんな心の中でのけぞっていたはずである。地点9の横の水路だが、これはもう95mm/3hの雨でもあふれ、学校用地まで浸すようになってしまっている。これを暗渠にしたら、水が入りきらなくてさらにあふれるよねと。そのことを私たちは住民説明会で議論していたはずである。住民説明会の報告か議事録を読んだ村井さんの、気に止まったのだろう。けれど村井さんはぜんぜんわかってない。120万トンを擁する七股池から流れ出る水路、これをまず止められるわけがない。なのに村井さんは、「この水路を止めないことで、地点9にあふれることがないようにした設計になってるじゃないですか。なのになんで住民はあふれることを不安がっているんですか?」と言ってるのだ。・・・何もわかってないのだ。

地点9の目の前に流れる水路(2024年7月1日)

【吉崎教育総務課長】まず、洪水貯水池ですね。これにつきましては、福岡県の開発基準に基づきまして、学校敷地内のですね、年超過確率30分の1規模の降雨について一時的に貯水するもので、貯水することによって河川へと流れる雨水のピークをおさえるものになっております。また埋蔵水路につきましては、既存の農業用水路の断面、それから流量を保持し、暗渠により水路の振り替えを行うものです。これにつきましては、河川の管理者である県や地元の水利との協議が整っており、県の開発許可も受けておるという状況です。

お得意のお役人構文。既存の断面と流量を保持したままだと、あふれるって傍聴席にいる人はみんなわかってるのに、村井さんには届かない。ほかの二人も質問さえしない。ショックなことに、このまま採決が始まるのである。

・・・全員否決。

祈り見つめていた傍聴席から、悲鳴がもれた。泣き出す人もいた。1か2、どれか一つは可決されると思っていたのだ。「学識経験者を入れるかどうか」について、なんか話した? ねえ、話した? 一切話すことなく、2番目の請願が終了した。そのショックは大きかった。3つめの請願事項は、教育委員に住民説明会にきてもらうことだったから、そりゃ来てくれたほうがいいはいいけど、これまでの2点に比べれば低かった。

恥ずかしいよ、福津市教育委員会。
恥を知れ、福津市教育委員会。

この人たちよりも、知識があったり、自分なりの意見があったりする人たちは、このまちにいくらでもいると思うのに。よりにもよってこういう人たちばかりを教育委員に選んできた。行政ってすごいなと心から思った。








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