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志望理由書で「敬語」を使うな!何なら文体は「常体」でもよい!【志望理由書対策】

更新日:2025/01/25

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。

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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)

 小論文・作文指導者にとって、夏は繁忙期に当たります。それは夏休みが明けると学校推薦型選抜や総合型選抜(いわゆる以前の推薦入試やAO入試)が控えているからです。そこで問題になるのは志望理由書の作成。ですから、この時期は志望理由書の添削指導がとても多く、夏はとても忙しいのです。

 で、そんな時期ですので、小論文では余り見かけないが志望理由書ではよく見かける、「敬語の扱い」の問題について、今回はまとめていきます。


志望理由書での敬語の扱い

1.原則として志望理由書では敬語は用いない。文体は敬体でも常体でもよい。

 まず志望理由書では相手(志望先)を意識して書くためか、しばしば敬語が登場するのですが、結論から言うと、志望理由書で敬語を用いる必要はありません。というのは、まず高校生のほとんどが敬語の使用に対して圧倒的に不慣れであるため、むしろ敬語を使うことで文章として誤った、不自然でおかしな表現になることが多いからです。また誤っていなくても、冗長でわかりづらい文になることが多いです。だから、そうなるくらいならむしろ使わない方がよいです。原則、志望理由書では敬語は用いなくてよいです。それでも、「志望先の大学や学校に対して失礼に当たるのではないか」、と気になるようでしたら、文末を敬体(デス・マス調)に統一してください。これだけで十分失礼にはなりません。ただし、これはあくまで気持ちの問題であり、必ずそうすべきというものではありません。

注1 文末が常体(ダ・デアル調)でも失礼にはなりません。「大人」はそれを失礼だと思いません。

注2 ただし、直接対面する面接では、敬語を用いる必要があるため、「敬語が使えなくてもいい」ということではありません。面接試験がある人は、「常識的な敬語の使い方」を知っておく必要はあるでしょう。

(なお、文体(文末表現)については、以下の記事で扱っています。一般的には小論文では「常体」、志望理由書では「敬体」を使うのが適切とされています。なお、文章の中では、文体は「常体」か「敬体」かどちらかに統一しましょう。混ぜ書きは不可です。)

(敬語は、相手に「失礼」と思われないよう、あくまで「常識的」につかえればよいです。細かく「語学」として勉強するほどではありません。しかし面接試験などが不安な人はこうした本で「さらっと」確認しておくというのも手。)

2.特に謙譲語は用いなくてよい。

 特に謙譲語(自分の行為に対して用いる敬語。自分を一段下げて相手を高める表現。)は使わなくていいです。理由は上記と同様です。大半の生徒の謙譲語の使い方は誤っています(相手の言動に謙譲語を用いるなど)。そのため、おかしな表現になることが多く、むしろ文意が伝わりづらくなっていることが多く見受けられます。またそうした「敬語を使いがちな志望理由書」には、しばしば過剰に敬語が使われています。しかし、生徒のみなさんは「慇懃無礼」という言葉をご存じでしょうか。「うわべだけの過剰な丁寧さはかえって相手に失礼だと感じさせる」というような意味の言葉です。敬語を重ねて、もってまわった言い方をすることで、(表面的に、敬語で必要以上に装飾することで、かえってその人の本心からの敬意を感じられずに)相手は「人をバカにしているのか?」と思います。謙譲語の多用はこれを助長する傾向があります。謙譲語は用いる必要はありません。

3.尊敬の助動詞「れる」・「られる」は使わない。

 尊敬の意味で「れる」・「られる」は使わない方がよいです。というのは、ここでくり返し言っている「敬語は基本使わない」ということももちろんそうですが、この「れる」・「られる」にはもう一つ問題があるからです。それは、この助動詞には「受身」・「可能」・「自発」・「尊敬」と四つの意味があることです。そのため、文中でどの意味で「れる」・「られる」と言っているのかがわかりづらくなることがあるため、用いない方が無難というわけです。

(「ら抜き言葉」問題の観点からも「れる」・「られる」は多用しない方が無難です。)

まとめ ~志望理由書の作成では、過剰に敬語を意識しなくてよい。~

 きつい言い方ですが、「使えない敬語なら使わない方がよい!」。これに尽きます。また生徒のみなさんがこだわっている程、大人は敬語を気にしていません。社会人経験が全くない高校生が巧みに敬語を操るとは、大人は全く思っていません。常識的に、丁寧な言い方や表現をしていれば、相手は失礼だとは思いませんし、それだけで合否が決まるものでもありません。それよりも敬語を気にして書くが余り、不自然な表現になり何を言いたいのかわからない文章になってしまうことの方が問題です。

 ですから、敬語は使わなくてよいです。誤った敬語を多用しているため伝えたいことが何かがわからない志望理由書を多く目にしますので、今回はこういう記事を書き、注意喚起します。


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〆野 友介 | 教育系noter | 小論文・作文指導者| 志望理由書の作成指導も |
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