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「完璧」の「ぺき」は「壁」ではない!

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導からよく見かける、中高生の間違えやすい表記を紹介し、世の中高生・受験生に警鐘を鳴らすのが、このシリーズ【間違えやすい表記】。

 本日は「『完璧』の『ぺき』は『壁』ではない!」です。この「璧」の字を「壁」とする間違えをよく見かけます。この漢字について、本日は確認していきます。私の感覚で言うと中学生に特に多い誤りという感じですが、大人でも間違えている方を見かけたことがあります。

 「璧」の構成を見ると、上の部分の「辟(※これだけでも一字の漢字として存在している)」が「ヘキ」という音を表し、下の部分の「玉」が意味を表しています。ですから、音読みは「ヘキ」で訓読みは「たま」です。これは「たま(=玉)」を意味する漢字で、「完璧」とは、「傷のない玉のように完全なもの」から転じて、「欠点が少しもないこと」を言います。

 手元の三省堂の国語辞典でもこの通り。

かんぺき【完璧】(名・形動ダ)〔きずのない円形の玉。「完壁」と書くのはあやまり〕①欠点が少しもないこと。完全無欠。~中略~ ②〔俗〕まったくそうであるようす。完全。~後略~

三省堂国語辞典 第七版

 「完壁」はあやまり、としっかり注意喚起されています。

 なお、「辟(ヘキ)」シリーズの漢字はとても多く、ここで問題になっている「璧(音:ヘキ 訓:たま)」と「壁(音:ヘキ 訓:かべ)」の他、「潔癖症(ケッペキショウ)」・「妄想癖(モウソウヘキ)」などの「癖(音:ヘキ 訓:くせ)」や「僻み(ひがみ)」・「僻地(ヘキチ)」などの「僻(音:ヘキ・ヘイ 訓:かた‐よる・ひが‐む・ひめがき)」といった比較的よく使うものや、「晴天の霹靂(ヘキレキ)」の「霹(ヘキ)」など難しく余りお目にかからないものまで、例を挙げるとたくさんあります。

 「完璧」の「ぺき」は、「壁(かべ)」ではなく、下が「玉」の「璧(音:ヘキ 訓:たま)」です。間違えないようにしましょう。

参考図書:三省堂国語辞典 第七版 2014年1月10日 第一刷


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